偽善者のレッテル
意識は遠く 声は掠れる
雨風が 季節を攫っていく
おぼろげな記憶さえも 粉々にして
前傾で歩いていないと 肺を穿たれてしまう
いつかの蟠りは 手に負えないほど肥大していた
私にはどうすることもできないと諦めていながら
視界の端に捕えつづけていた私には
偽善者のレッテルがお似合いだった
生半可な覚悟では 自分さえも守れないんだ
寄り添うことは 呪いから解放したいという意思だった
相手の抱えているものの半分を背負うのではなく
そっくりそのまま同じものを背負おうとすることが
せめて近しいものをと想像をあきらめないことが
ちがう存在になれないなりの誠実さだった
孤独は 美化するものじゃない
だって はじめから孤独は美しいんだから
過去を置き去りにせず向かい合った時間だけ
それがそのまま優しさになるから
私は覚悟している 生半可な覚悟じゃない
もう 誰も見殺しにしたくない
孤独に寄り添えるのは 他の誰かの孤独だから
そしてそれが あなたといたい理由だから
偽善者のレッテル