拝啓、新社会人の

rightboy10

初めまして、僕は今、仕事場のPCでこの文章を、こっそりと打っています。僕の席は(なんとも都合がいいことに)窓を背にしているという事実があり、さらに今は周りのデスクに誰もいないタイミングという合わせ技でこの文章を打つことが出来ています。僕より偉い人たちはちょっとだけ遠い席なんです。ね、本当に都合がいいんです。だから本来ならば、こんなことしていてはいけないんですよ。でも僕の仕事の目途が立って、それで時間はおやつの時間になって、やる気もなんだかなくなってしまったので、僕はいま、コーヒーを飲みながらよくないことをしているんです。就業時間はずっと仕事をするべき?その意見もよくわかります。だって、お金をもらっているんですからね。でも残念ながら僕は集中力がなかなか続かず、逐一のちょっとした息抜きがないと、とてもじゃないけれどやる気が起きませんし、このようにたっぷりの息抜きが取れる時間があればたっぷり休みます。(たっぷりっていってもせいぜい15分ですけどね、だから僕はこの文章を15分以内に書き上げなければいけません。それもまた中々ハードです。)

僕は新卒の頃の記憶はもうほとんどなくて(かなり忘れっぽい、というのもあるのですが。)、今も職場の新卒の子のカチコチな態度が少しだけ面白く見えてしまいます。酷い話です。僕らもみんな同じだったはずなのに、そのころどう思っていて緊張していたかなんてもうまったく思い出せないんです。じゃあ一つ上の先輩が気をまわしてあげたらいいって?そうですね、でもね、一つ上の先輩だってまだまだ20も半ばにならない子が多いんです、人間が出来ていないし、まだ自分たちのことで手一杯な人が大勢います。そしてそれ自体は責めるべき話でもありません。当然なんですから。だから一つ上の先輩たちに頑張らせるのも、少しだけ違うんです。(もちろん、後輩が出来たのだから頑張らなきゃいけない事はあります。)だからといってさらにその上の人が気を回せるかというと、必ずしもうまくはいきません。社会はお互いのちょっとちょっとの思いやりで過ごしやすくなるのですが、現実はそうはいかないんです。理想の形はあくまで理想のままが多いです。不思議ですか?僕はそうは思いません。その理想はあくまで「個」を排除しているから理想なんです。現実で暮らす僕たちはそれぞれの事情や感情や生き方、その他諸々を抱えています。僕はなるべく他人に優しくいようと思っていますが、実際他人に優しくできるのは、僕自身に「余裕」があるときだけです。僕に余裕があっても、隣の人に余裕があるかは定かではありません。逆もまたしかりです。僕は余裕がない時、とてもじゃないけれど他人に優しくはできません。それがダメだとは思いません。大事なことは、余裕がない時にどう行動するかです。だから僕の場合はなるべく言葉を発しないだとか、距離をとるだけとか、土日はずっと家に引きこもるだとか、ネットをみないだとか、本を読むだとか、そういう対処でやり過ごします。今のところこれでまあまあうまくいっています。ちょっと話が大きくなってきましたね、話がどんどんいろんな方向に進んでいくのが僕の悪い癖なんです。えぇとだから、なんだろう、えーと、なんの話だったかな。えぇと…あぁそうだ、僕は君がカチコチな理由がわからないんですが、君が思うより、たぶんここの社会はずっと、緩いから大丈夫です。(あくまで、僕の職場では、ですけどね。)学校に通っていたころも多少は感じていたと思いますが、社会に出ればもっとたくさん、人にはそれぞれ事情があるという事がわかってくると思います。そしてそれが自分の人生や価値観と全く異なるということもざらです。それをよくよく覚えていてください。そして何事も誠意をもって生きて下さい。僕はいろいろ職場を転々としましたけれど、求められることはいつも同じ、誠意でした。お金を払うだとか切腹するだとか、そういうんじゃあないですよ、念のために。ただわからないことはわからない、知らないことは知らない、それを恥ずかしいことと思わず認めて、じゃあわかるようになるには?知るようになるには?と、考え行動していくことです。ここらへんのやり方や匙加減を説明するのは厄介ですし、きっと経験するのが一番なので今日はやめておきますね。あと時間がありません、なにせ僕の「こっそり」という時間を使って書いているんです。

きっとこれから信じられないくらいの理不尽とたくさん出会うと思います。僕もたくさん出会いました。そのたびに悲しくなったり怒ったり、憎んだりしました。でも最終的に「他人を変えるより、自分を変えるほうが簡単」という考えに行きつきました。信じられないくらい理不尽な人とは距離を置いたり、接し方を変えたり、そうしてなんとか、僕は今、生きています。これが参考になるかなんてわかりませんけれど、少しでも君の助けになったらうれしいと思います。

時間はとうに30分すぎてしまいました。僕はそろそろ仕事に戻りますね。というか、戻らないとまずいです。なんていっても、仕事中ですからね!

君もどうぞ、この手紙を閉じて、君の人生を歩み始めて下さい。では。


(2019/06/05:noteお題「社会人1年目の私へ」に投稿したものを再編集)

拝啓、新社会人の

拝啓、新社会人の

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-02-24

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