祈雨 凱

まばたきをするの忘れちゃって、もう眼が砂漠になっちゃってさ。サボテンが生えて嘘の雨が降ってオアシスになったのだけど、もう嫌になっちゃって。服のままその湖に飛び込んだんだ。まばたきするために僕、生まれた気がしていたんだけど、どうやら間違っていたみたいで。そんなことしなくても生きていけるんだって思ったら、なんだか涙が出てきてもう本当に悲しくて悲しくて、幻覚の湖から本当の水が湧き出してきたんだ。舐めてみると優しい味がして、僕は裸になってしまえると思って、そう思った瞬間、僕は半透明にこぼれ落ちていた。砂漠に本当の雨が降っているんだって思ったら、僕は落下していて、瞼から落下していて。ああ、産まれたんだって思ったよ。本当になれたんだって。僕は。
もう誤魔化さなくていいんだ、もうオアシスなんか無理やり作り出さなくていいんだって。そう思った。僕は、涙になれたんだって、そう思ったんだよ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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