運命られたもの
神様
彼女は満足していました。
家族も友達も生活も。何もかもが滞りなく、いたって普通に生きていました。
幼い時、彼女は祖母を亡くしました。彼女は人の「生」は永遠では無い事を知りました。
彼女は考えました。これまでに無いくらい考えました。
「この世界の中でただ終わりを待つのは嫌だ。どうにかしないと、、、」
彼女は悩みました。それでも明確な答えは見つかりませんでした。
しかし、何かしなければという想いから動き始しました。
親のためになること。友達のためになること。学校のためになること。世界のためになること。
いつしか彼女は「良い人だ」と賞賛されるようになりました。たくさんの「ありがとう」をもらいました。
それでも彼女の悩んでいました。
「神はこの世にある「生」の全てを知っている。それぞれの運命でさえ神が定めたのだとしたら、私にも何か定められたものがあるはず。探さなきゃ」
彼女は探し続けました。それでも答えが見つかる事はありませんでした。
一方で、人のためと思っていた彼女の行動は周りをも動かし、彼女は街で有名になっていました。
そんな彼女はついに「生」を終える瞬間を迎えました。彼女は幸せでした。ただ一つの心残りを除いては。
20XX年〇月□日 永眠
書き終えた所で私は本を閉じた。正直、ここまで『私』に興味があるのはなかなか希だとう。
「彼女は答えを見つけたかったみたいだけど、私も答えなんか分からないわ。私は生み出す者。神とは違うもの。そして彼女は、私が生み出しただけにすぎない。その後どうしようと彼女の自由。でしょ?神様。」
運命られたもの