大人の恋愛

数年前に離婚し二人の子供を育てる事となってからは、毎日仕事と育児の両立に追われて恋愛なんて考える余裕すらなかった。当時、そんな私を見た周囲の人達は、早く新しい人を探して自分も遊ばないと言われる始末。遊ぶって…。幼い子供を誰に預けて遊びに行けというのか。と勝手な事を言う人達に笑っていても苛立ちの気持ちすらあった。子供がある程度大きくなり少しずつ親から離れてそれぞれの時間を過ごす様になった頃から、私の心にも少しずつ変化が表れ、寂しい時や疲れが溜まった時に、誰かに甘えたい気持ちが甦ってきた。こんな気持ちがまだまだ心の奥底にあったのだと自分でも驚いた。でも今更、恋愛や恋なんて…。気が付けばアラフォー世代も過ぎているし、独身時代の体型や美貌も無い私に、異性なんて到底無理だー!と自分に言い聞かせ諦める日々。でも本当にこれでいいの?このまま子供の成長を見守りながら、自分は年老いて孤独に死んでいく人生でいいの?自問自答を繰返し、人生は一度きり!出した答えは、残りの半生を自分のやりたいようにやって、キラキラした日々を過ごして老いていくのも悪くないという結論に至った。結論が出てからは、どうやって良き異性と巡り会うのかということを考えてみた。年齢的に周囲の友達は皆、既婚者であり誰か紹介してといっても難しいし、年下より年上がいいなあ。だんだんと気持ちに欲が出てきて、空想の世界に突入する事もしばしば。だって、歳をとった女性でも女の子だし、夢見心地になってもいいじゃなあい。年甲斐もなくという言葉があるけど、そんなの関係ねー!の世界だー!と思うようになった。そんなときある広告が目にとまった。恋愛アプリやお見合いマッチング等である。最初は躊躇して登録せずにどんな感じなのかを探ってみると、予め相手の好みや条件等を登録できる事を知った私は、興味本意で登録してみることにした。本当にこれで出会えるのかと半信半疑でいたが、数日後に複数の人とメールでやり取りしてみて、いいかもと思える人を数人、絞ってみたけれど実際に会う事を考えるとなんか怖くない?大丈夫?という気持ちも出てきて、尻込みしてしまう始末。そんなグズグズしている私に一度会ってみませんか?とお誘いをもらい勇気を振り絞って会うことに…。恋愛は初めてではないのに、不思議なくらいにウキウキするし、当日の話題を考えるだけでワクワクして緊張する自分がいる事にも驚く。忘れていた学生時代の甘くて初々しい乙女心が、冷えきった私の心をじわじわと温めてくれる様な感じすらあった。お誘いをしてきたAさんとファミリーレストランで現地集合、現地解散を条件に会うことにした。私は、緊張のあまり約束の時間より早く着いた。駐車場でどんな感じの人なんだろう。と勝手に想像しつつ、あたりを見ていると強面の図体がいい人がウロウロしているのを見て、ひぇ〰️!あの人やったりして…。もしそうであれば、人間違いです。って帰ろうと思っていると、Aさんから連絡が入ってくる。レストランの入口に居ますという連絡だった。ドキドキしながら恐る恐る入口までゆっくり歩いて行くと、あれ?誰も居ない。え、からかわれているのかと脳裏に文字が横切る。するとSさんですか?とボソッと声がかかる。振り向くと、イメージと違った好青年っぽいAさんがいた。あー良かった。さっきの強面の人ではなかった事に安堵したのも束の間。レストランの席へ座るなり、何から話を切り出したらいいのだろうと考えていると、店員さんがお冷やとおしぼりを置く間の数秒間が異様に長く感じる。するとAさんから緊張しますね。と微笑みながらの一言。すかさず私もそうですね、Aさんは実際に会ったりするのは、今回初めてですか?と話しを切り出す。いや、何回か会ったけれど続かなくてね…。あのーご職業は何をされているのです?と続けて質問するとAさんは公務員です…。会話が続かず、沈黙となる。沈黙が長くなるほど焦りが出てくる、何か話さないと思うも頭の中が真っ白すぎて、思いつかない。公務員って幅広くあると思うのですが、どのような公務員されているのですか?とやっと聞くことが出来た。Aさんは核心を言わずやんわりと事務的な…。あまり話したくないような様子なので、話題を変えてみる。すると、Aさんから昼食、食べられました?と言いながらメニュー表を手にしている。え、一瞬戸惑った。食べていないけれど、緊張のあまりお腹が空いていることも忘れていたし、初対面で食べる姿は正直ハードルが高すぎるーと心の声が叫んでいた。あ、大丈夫です。と言いつつもお腹は正直で、グーってなる始末。恥ずかしくて苦笑いをするしかなかった。Aさんも苦笑いしながら一緒に注文しましょう。と注文することになり、Aさんと同じランチセットを注文。Aさんからタイミングよかったですね。とお腹が鳴った事について掘り返される。
あー無かったことにして…。と思いつつもその事がきっかけで、場が和む。その後の時間は、お互いの食べ物の好き嫌いや子供の話や好きな人のタイプ等々で話しして、その日はお開きとなる。
それからの日々Aさんからマメに連絡がくるようになる。男の人でここまでマメなのも珍しいなあ。と思うほど。朝は、おはようの挨拶、昼は、ランチの写真、夕は、お疲れ&おやすみの連絡。嬉しい反面、疑似恋愛感に浸りそうな感じもして少し複雑な気持ちにもなった。実際に付き合うことになったらこの連絡は、どうなるのだろう。変わらずマメにあるのだろうか?それとも釣った魚には餌をやらないタイプに変貌するのだろうか?私の中でいろいろな模索が出てくる。ある日Bさんからランチのお誘いがあり会うことになった。BさんはAさんと真逆で、よく話す方で、話し方やこちらの引き出した方がとても上手な人。話しも弾み、会って数分しか経っていないのに愉しいと思えるほど。Bさんは営業マン系の仕事をしているということで、納得できる。しかしセールス系のトークで弾むも核心となる部分を濁す様子があって世間トークのように思えた。トークの中でお互いの駆け引きみたいな感じもあって、大人って良いようで面倒くさいと思えた。純粋にお互いの心へ飛び込むことが出来れば楽なのにと思うが、それも大人の醍醐味なのかもしれない。Bさんとはメールで話すことがあっても会うまでには至らなかった。Cさんは一見落ち着いている雰囲気をかもし出しているが下心が全面に出ており私は、交わしながらその場をしのいだ。なかなか良い巡り合わせがない中、Aさんとは連日メールでやり取りをしていた。Aさんから食事の誘いもあり、再びランチすることになり、少しお洒落なお店で待ち合わせになった。久々に会ったAさんは、爽やかに笑顔で駆け寄ってきて、待った?私も笑顔で応える。食事中にAさんからこのあとドライブへ行きませんか?正直Aさんに対する信頼感は、連日のメールで高まりつつあった。けれど実際どうなのかという確信まで至っていなかったので、お互いのことを分かり合えるのに良いチャンスと思い、Aさんとドライブへ行くことにした。行き先はAさんから提案があった海へ行くことに。道中、お互いの休日の過ごし方や遠方へドライブ行っている場所等々の話題で盛り上がっているとき海が見えてくる。思わず海だ―と叫ぶとAさんが吹き出し笑いに変わる。つられて私も笑う。砂浜を散策することになり、潮風や波の音が心地好くお互いに大人の心から童心へと返る。波打ち際でふざけたりしていると自然と二人の距離感も縮まってきて、いつの間にかお互いの肩が触れるくらいまでに並んでいることに気付く。Aさんが近くの階段に座って話そうと言われ、いっしょに座って至近距離で潮風気持ちいいねと話始める。Aさんから異性のタイプとかある? 楽しくて優しい人かな。Aさんのタイプは?と聞くとそれは、Sさんです。付き合ってください。といきなりのストレート告白。あまりにも直球だったので戸惑いを隠せない私は、動揺する。続けてAさんは、ダメですか?いやいや待って、頭と心の整理が追い付かない。少し間をおいて私でよければと。やっと言葉で返すことができた。Aさんは驚いた様子を見せつつ喜びの笑みでガッツポーズをしていた。Aさんの素直な気持ちが見れて、逆に良かったと思える時間でもあった。日も陰り夕日に照らされながらAさんの車で途中まで送ってもらう。車内の中でなにを話したか分からないくらい、心はふわふわとしており、夢を見ているのかようにさえも思えてならなかった。Aさんと別れてから帰宅する間も夢見心地の自分に酔っていた。告白された時の様子がフラッシュバックし、にやけてくる。
私のどこが良かったのだろう疑問が出てきては、嬉しさの気持ちで不安を払拭していく。家に帰りついた頃にAさんから今日はありがとう。楽しかった。今度いつ会える?と連絡がくる。相変わらず律儀なAさん。

大人の恋愛

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  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日 2021-02-22

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