未定

[ちょこちょこ編集していきます。]

 この制服は、わたしのコンプレックスだ。袖に腕を通して、溜め息を吐くのはいつもの癖。これを着ていることで、わたしの価値は、周りの子たちと一緒のレベルまで下げられる。それはとても恥ずかしいことだ。同じ目でなんて、見られたくない。制服を着た自分の姿を、鏡で見ることなんて出来ず、寝起きの髪で、玄関の重たいドアを開けた。皮肉にも朝日が眩しい快晴。

「しばらく振りーー!」
最寄り駅の改札口の前で、中学の時の友人と鉢合わせた。内心、げっ、と思ったが、若干むくんだ両頬を無理矢理引き上げながら、
「あ、うん。しばらくだね」
と返した。彼女は早口で話を続けるけど、わたしはそれがどうしても耳に入らない。視覚のほうが働いて、視線はどう頑張っても彼女の顔ではなくて制服にいってしまう。
「じゃあ、あたしこっちだから!またねーっ」
「あ、うん。またねー」
くるりと半回転して反対側のホームへ歩く友人の、ヒラヒラ揺れるスカートが朝日よりも眩しかった。わたしも、あの制服が着たかった。もともと重いブレザーが更にわたしにのしかかる。

学校なんて大嫌いだ。そう思わせるのは、毎日の授業やぎゃーぎゃー騒ぎっぱなしのクラスメート、口うるさい教師陣、はたまたテストなんてもんじゃなくて、この学校自体。いわば、社会的な『ブランド』

未定

未定

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-23

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