解釈に内在する空世界



掛け重ねた言葉は
()ぎ足しても変わらない
意味はいつも同じ


目線を()らさない
空世界(そらせかい)
君がひとり 浮かんでは淡く消える

空世界
逸らせない その目線 そうさせない
それは白い
泡沫(うたかた)
崩れていくダウナー



私に()
混在(こんざい)する懸念(けねん)一重(ひとえ)
満ちた星空の下で死を()むリヒト
私に在れ
(さなが)ら小さい希望は
(つい)えることを知らず 海神(わだつみ)に願う
大いなる目的とは
多幸(たこう)なる理想とは
君を知り 生きていく ただそれだけ
それだけの世界



目線は逸らせない
逸らしてはならない
心して命に(そぐ)

そして始動し、どうするのか
空世界
空は世界の果て
辿り着いた地点での約束事
逸らせない

それは白い

君だけの翼


浮かぶこと
そしてそれを有する力
まだ僅かな(つぼみ)だと
それでも解らないことはないと
命帯(いのちお)び 羽ばたく君がひとり
(かな)わないものなど無いと
不敵(ふてき)に笑ってみせた
白い君がひとり
見惚(みと)れて見失ってしまう
空だけの世界


私に在り
この心に命が在り
そしてそれを知ることは
内在(ないざい)する悪魔を飼い慣らすこと

仮初(かりそ)めの魂魄(こんぱく)だとしても
平等に息を吸えない 私たちは
我先にと命を枯らしていく


終末(しゅうまつ)は一度きり
数グラムの理解と
数センチの凶刃(きょうじん)(たお)れる
まだ蕾なわたしたちは
空だけの世界で
墜落(ついらく)を知らずに育つ
冒険の果てに
何もないことが分かってしまっても
結い、結ぶ、その仕草の向かう先
空があると信じて


空が有ると信じて



(わび)しさは声

超えていくだけの声

求める寂寥(せきりょう)

私を責め立てても

喉元(のどもと)につっかえた

刃は苦しさを(かも)し出す

わたし、わたしは ひとり ひとりぼっちだと



心に在れ
心に在れと願うばかりだ
白い羽が()ちて()
拾えぬほどの深度へ
置いていかれた私とわたしの羽は
翼と呼ぶにはあまりに…
あまりに…(もろ)くて 軽くて



墜落したそのあと
私はひとりだと知った刹那(せつな)
目の前に広がった世界とは
広がった世界


とは

解釈に内在する空世界

解釈に内在する空世界

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2021-02-15

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