「秋波」

じゅり

 
 夏の終わりに彼と別れて半年が経った。やり直したいとは思わない。やり直してもきっと同じ結果になるだろうと頭では理解しているつもりだ。それでもまだ次に進めない。

 彼は顔が良いしノリも良いし人気があって自身満々。でもチャラいしデリカシーがなくておまけに背も高くない。そういう所さえ良い風に見えてしまうのが余計に癪だった。独占欲が強いくせに彼は平気で彼女以外と連絡を取った。それにムカついて他の男と仲良くした。甘えることが得意じゃない可愛げのない女と本音を言えない軽い男。本当にお互い不器用だった。別に嫌いになったわけではない。あんなに人を本気で好きになったのは初めてだった。でも嫌われないように頑張る私は楽しいと思うことよりしんどいと思うことが多くなっていった。
 「もう友達に戻ろう」告げたのは私からだった。彼もびっくりするほどすんなり私の提案を受け入れた。私の初恋は本当にあっけなく終わった。

 いつまでも気持ちを引きずるわけにはいかない。ずっと消せなかった彼の連絡先を消す。彼と別れてから関わることのなくなった彼の親友の連絡先も消すべきなんだろうか、と迷いつつSNSのページを開いた。
 『今日は親友が家に遊びに来てる!こいつの季節感覚おかしい(笑)』写真付きの投稿が目に入る。そこにはもうずっと会っていない彼の姿があった。私がプレゼントしたその半袖のTシャツ、この時期に着るには少々寒いんじゃないだろうか。いいねを押す。別に深い意味は、ない。
 

「秋波」

若干の実体験。はは。

「秋波」

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-02-14

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