「隠し味」

じゅり


 先輩は美食家だ。だから本当に味にうるさい。味噌汁を出せばやれ塩分が高いだの、味噌が薄いだの文句ばかりだし、ハンバーグを作れば焼き加減まで細かく言及してくる。正直に言えばウザい。
 でもだからと言って嫌いにはなれないのだ。そういう所も含めて好きになってしまったのだから仕方ない。先輩は私の作った料理は絶対に残さない。私の料理は世辞にも美味しいと言えないようなものなのだが、先輩は絶対に残さない。私はそれが嬉しくて文句もチャラにしてしまう。
 世の中の恋人たちがチョコレートを渡し合うであろうその日、私は先輩にカレーを作った。今日も先輩は残さない。最後まで食べきったあと先輩はこう言った。
「告白するなら、もう少し直接的な方が俺は好みだぞ。」

「隠し味」

ビターチョコですよ、多分。

「隠し味」

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-02-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted