銀河系恋愛に憧憬

 ふたりぶんの、愛が、腐ってゆく、なかみがすかすかになったら、むなしくて、ソフトクリームの、コーンの底に、アイスが浸透していなかったときみたいな感じ。気分としては。超次元的な、恋愛ドラマは、惑星の向こう側で、わたしたちは、やくそくにはかならず指切りをして、電波情報でしかしらない、宇宙のひとたちは、愛をするのに、性別も種族も超越して、ときには、有機物でなくたってかまわないのだと、ほほえんでいる。郵便ポストに、恋をしたことがあるひと。海に抱かれたいと、切実なひと。いっそ、魚のえさになってもいいのだ。おかあさんのなかにかえろう。月が近く、もう、すぐそこ、手をのばせば届きそうなところにいて、吐息が、いつまでもつめたいのは、わたしたち、そろそろ、冷凍保存のねむりにはいる頃。きみと。校舎の三階、西棟、音楽室のグランドピアノのうえで、すみれの砂糖漬けをくちびるで、そっと食んだ。瞬間の。痺れ。たぶん、恋。

銀河系恋愛に憧憬

銀河系恋愛に憧憬

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-13

CC BY-NC-ND
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