さいはて

はやく、はやくはやくはやくと毎日おもっています、ひらがなだろうとカタカナだろうと、なにをどのように言葉にしようとも、すべてが無駄で、すべてが今までに一度誰かが言ったはずのことで、夜中に飲む低度数のお酒が全然美味しくないことも、それでもその吐き気が、眩暈が、熱が、いつか報いになって死ぬ前にみる走馬灯のひとつになるのだということも、忘れられない人についての散文詩も、すべて。それならばはやくすべてを終わりにして、すべてを言葉にして、すべてを、わたしたちのものにしよう。言葉をつかう人々の共犯で、世界は終わらせることができるはずです。

奇跡も大逆転もなかったけれど、わたしたちにはドラマチックな破滅があったね ここは現実だと言って仰向けになって泣いていたその瞳のなかで、それでもみた夢が、青く発光していたこと 魔法も、小説になるようなストーリーも要らなかった その光と、フィクションがあればわたしたちは、ふたつ並んだ凡庸な薄汚い星のままで、美しく死ねるのだ 嘔吐するように文芸をしている どんなように生きていても、手繰った淵の最果てでみるものはすべて同じなのかもしれなかった そうですか あなたが教えてくれたものはすべて、あなたでなくてもよかったのかな そうですか 生きていても楽しくない あなたがいないならば 違いますか

逃げるように恋をしよう、ためしに触れて、弾かれたらそこでおしまいにしよう 溢れかえる数えきれないほどの言葉はすべて、唇でふさいでしまって

さいはて

さいはて

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-12

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