屍の夢
私は、夢想によって、この生命を現在に繋ぎとめていた。まるで、そうしているあいだは何の障害もない、安楽な生を保証されているかのように。事実、私にできることは夢想のほかに何もなかった。それは信仰のようなものだった。それを妨害されているあいだは、不安や恐怖、焦燥といった犠牲者的情念に全意識を支配され、思考力をすべからく奪われ、厳然と顕現する観念の奴隷になることを余儀なくされた。私は、そうした観念の牢獄から脱走するべく、努力しなければならなかった。信仰を全うしなければならなかった。脱獄囚であることに、罪悪感を抱いてはならなかった。私は、耐えなければならない。耐えながら、待たなければならない。待つことに、耐えなければならない。屈しないことが、抵抗することそれ自体が祈りなのだから。あの牢獄が自分に分相応な場所なのだと諦め、踵を返してはならない。そうした脳裡によぎる邪悪な郷愁に、不吉な思念に、絡め取られ、されるがままになってはならない。ゆめゆめ、それが自分に用意された運命なのだと、宿命なのだと、受け入れてはならない。信仰に泥を塗る者の囁きに、唾棄すべき者の誘惑に、耳を傾けてはならない。冷酷な眼差しに、気圧されてはならない。私よ。祈れ、祈れ。一心に、ただ一心に祈るのだ。信じることにこそ、信じ抜くことにこそ、救済はある。私を現在に繋ぎとめている私の夢想を、信仰を、裏切ってはならない。私は、私という不自由を祝福している。歓迎している。起伏が均され、色彩を奪われ、やがて茫漠とした荒野に世界が変貌しようとも、私は最期の瞬間まで、この心臓を、純然たる意志を、夢想と信仰に捧げるのだ。
屍の夢