にやのお菓子

あおい はる

 にや、というなまえの、こどもがみていた、夢の断片を、お菓子にして食べるキャンペーンをやっている、商店街。おかしい。眠れない夜に最適の、にやの、空を飛べたらいいのになチョコレートが、七万円で売ってる。税抜き。だれよりもやわらかいのは、新生児。肉体のゆりかごで、静かにどす黒くなっていくもの。蝶の群れに取り憑かれた、少女が、花弁に包まって呼吸を忘れる頃、が、冬のおわり。そして、春のはじまり。いっそ、かなしいきもちだけ切り刻んで、だれか燃やしてくれ。愚かしいと嗤う、きみと、水中遊泳に耽る真夜中の、水面にうつる月。見上げて。にやの、お金持ちになりたいキャラメルは、ひとつぶ五百円だって。薬局のまえで、風船をくれる時間に、にやの好きなパウンドケーキが焼けるにおいがする。となりのケーキやさんから。

にやのお菓子

にやのお菓子

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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