俺は、小説家だ
俺は、小説家だ。
いや、正確に言うと小説家の卵である。
もっと細かく言うと小説家を志しているだけの男である。
自分の事や自分の近くで起きたことを題材にするのが得意である。
いや、正確に言うと調べ事や探索は嫌いである。
もっと細かく言うと面倒臭いだけのことである。
そんな俺が、恋をしたら小説にしないわけはない。
原稿を書き始め、恋の進展を書き足していくだけのことだ。
しかし、いつも恋は、中途半端に終わり
小説もオチの無い漫才のようになってしまう。
書き終えた原稿を自分で読んだ。
主人公の男は、書くたびに完璧に近づいているのに・・なぜだ?
イケメン・財閥の家柄・ハーバード卒業・性格良好・スポーツマン
なぜだ? なぜだ?
彼女は、この原稿を見て、笑みを浮かべて出て行った。
俺は、小説家だ