夢が醒めても

2020年3月6日

さよなら、あなたに会えたこと、わたしの運命ができる限りの速さで、あなたに会わせてくれたこと 憶えてる、のこってる わたしはどうしたらいいのかな それでも何かを表現しようとし続けることが、ほかの誰でもないあなたの頭の中、目に見えない臓器の真ん中のところをいつか、貫ける時がくることを夢想するために、必要でいる気がしています ねえあれは楽園の続きだったのかな 神様にも、教師にも親にも誰にも救えないわたしたちが、二人で駆けた先にあったはずの場所は、クリスマス・イブの輪唱に似た喧騒と神聖な煌めきは、楽園の続きだったのかな
おいしかったもの、好きだった人、知らない国の首都、燃やした画集の、なんと綺麗なことだろうか、炎の光に照らされたあなたの横顔に、永遠を思った、夢は、醒めるからそこにあるのではないかと、わかっていたのに
あなたの指先に、鼻の形に、少しも狂わず恋に落ちていた ねえ、夢が醒めてもそこにあるのが、あなたではないのですか 恋ではないのですか、わたしたちの楽園ではないのですか。

夢が醒めても

夢が醒めても

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-07

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