Matriacil

西川詩乃

Matriacil

登場人物・・キャストはオールアジア人(主に日本人)

リオ・ロジスタン- この物語の主人公。

アダン・ライラトン-ミシルマの国王。

アドニス・ロジスタン- リオの育ての親。ペガサスに変身できる。

シーア―アドニスの恋人。

フラン・ライラトン-ミシルマの女王。

ブラウス-フランの本当の恋人。

ナターシャ・ポリー―本当はフランの娘。

サシム-アドニスの父親。

ペラ-アドニスの母親。

パトリス-リオの本当の父親。

サリル・テルダム-アオ女王。

スーラ―サリルの娘。

ジョージ-アオ国王。

ホリー・ハービード-ゴールデンハウクに変身出来る魔女。

フィース―リオの友人。

バップ―リオの友人。

スカル-ラストエトアの王

エディル―スカルの妻

ユナとベイ-ナターシャの育ての親。



ナレーター『この物語は昔々の話ではありません。僕がタイムトラベルをして見てきた未来の物語です。
西暦八千年。世界には普通の人間と魔法使いが住んでいました。』

ナレーター『地殻変動により、日本と朝鮮半島はひとつなぎになっていました。日本はミシルマという名前に変わり、朝鮮半島はアオという名前になっていたのです。二つの国を合わせたその地域の名前を、マトリアシルといいます。』

ナレーター『魔法使いたちはマトリアシルに集まって暮らす事を決め、それぞれ二つの国に別れていきました。』

ナレーター『ミシルマとアオは戦争にならないように契約を交わしていました。それは、三十年に一度、国王夫妻の子供を交換して、攻撃された時は殺すという契約です。』

一、*子供の交換儀式*(国王夫妻の名前と子供たちの名前を和尚さんが言う。)

二、シートルアスラ城の黒魔術師部屋
(ミシルマの王族が暮らしている場所をシートルアスラという。城には専属の黒魔術師を雇う決まりがあるが、アダンが黒魔術師のため、国王と兼任していた。)

字幕:アダン・ライラトン ミシルマの国王で黒魔術師

アダンは占いをしてから、大きな鏡の下に行く。

字幕:王を映す鏡

アダンが映ってから、歪んで、別の男(アドニス)が映る。

三、フランの部屋
字幕:フラン・ライラトン ミシルマの女王

フランの部屋には男の子が眠っていた。

アダン「その子をアドニスに預けたいんだ。」
フラン「アドニスに?占いができないのに。」
アダン「そんな事は関係ないさ。」

アダンはリオを抱いたフランのそばに行き言う。
アダン「この子がアオ国王夫妻の本当の子でないことは、君だって分かっているんだろう?」
フラン「ええ。こんなに可愛いのに、本当に可哀想だわ。」

四、愛の調べ
ナレーター『魔法使いの出産についての話をしましょう。夫婦や恋人同士が運命に導かれ、心が完全に繋がれた時に、二人の目の前で起こる愛の調べが魔法使いの出産なのです。アドニス・ロジスタンは、灰占い師のサシムと妖精のペラの息子でした。
二人の目の前で愛の調べが起こった時、サシムが占いで使っている灰が飛んで遺伝子操作され、アドニスはマトリアシルでたった一人の電流のペガサスとなったのでした。』

五、アドニスの家
夜空に光り輝くペガサスが飛んでいる。
ペガサスは森の中の家に降り立ち、アドニスに変身する。

アドニス「ただいま、父さん、母さん。」
サシム「おかえり、アドニス。警察の仕事はどうだった?」
アドニス「いつも通りさ。魔法コウモリのグリータが僕の鞄に忍び込んで、署で大さわぎしたんだ。それで僕は始末書を書かなければならなかった。」
ペラ「それは大変だったわね。グリータ達はあなたを友達だと思っているのよ。」
アドニス「そんなの迷惑だよ。」

六、夕食
ペラ「シーアと付き合って何年だっけ?」
サシムも顔を上げる。
アドニス「えっと・・、もう十年になる。」
ペラ「まだ愛の調べが起こらないの?」
アドニス「そんなの仕方ないじゃないか。僕たちは運命に導かれるしかないんだ。」
ペラ「だけど、シーアが我慢できるのかしら?」
アドニス「・・・・。」

コンコン
サシム「こんな時間に誰だろう?」

サシム「はい?」
そこには赤ん坊を抱いたアダンが立っていた。
アダン「すまない、こんな時間に。」
サシム「アダン様?!一体どうなさったんです?」
アドニスとペラも顔を出す。

ペラ「なんて可愛い赤ちゃんでしょう。」
アダン「この男の子は、僕とフランの娘と交換したアオ国王夫妻の息子なんだ。」
ペラ「そんな・・!」
アダン「古くからある魔法使いの契約で仕方なかったのだ。アドニス、この子の育ての親になってくれないか?城の王を映す鏡が次期国王としてアドニスを映したんだよ。」
アドニス「ええ、まさか、僕が?」
アダン「電流のペガサスは、マトリアシルにアドニスしかいない。あの鏡がアドニスを映したということは、アドニスがミシルマ一の魔法使いという証だ。」
アドニス「僕はそんなに強くないのに。」
ペラ「自分自身の強さは周りからしか見えないものよ。」
サシム「アダン様。ぜひ、アドニスをその子の親にさせてください。」
アダン「ありがとう。」

アダン「この子の名前は、リオだ。」
アダンはアドニスにリオを引き渡す。
アドニス「はい。分かりました。ありがとうございます。」
アダン「リオ。元気でな。また様子を見に来る。」
アダンは瞬間移動する。

サシム「アドニス、父さんたちも協力する。」
ペラ「ええ、それはそうだけど、アドニス、シーアと結婚して二人で育てていってもいいのよ。」

七、翌日
アドニス「シーア、リオだよ。」
シーアがリオを抱っこする。
シーア「可愛い男の子ね。」
アドニス「僕たち結婚して、二人で一緒に育てないか?」
シーア「ええ・・。」
アドニス「嫌かい?」
シーア「でも初めて見たばかりよ。赤ん坊なんて育てられるかしら?」
アドニス「きっと大丈夫さ。」
二人は手をつなぐ。

二人は魔法の結婚契約書にサインする。

八、フランの愛の調べ

ナレーター『リオをもらう代わりに、フラン様とアダン様がアオ王国に渡した子供も、愛の調べによって生まれた子供でした。』

*庭師のブラウスが、シートルアスラ城の庭の手入れをしている。
パグを連れて歩いてきたフラン。

アダン「よし。占いの結果が出た。早くフラン様に知らせなければ。」
アダンは城の階段を降りていく。

天空に黄金の雲が渦を巻いている。
アダン「あの光は。まさか愛の調べか?」

ブラウスがつぶやく。「命が始まった日と命が終わった日は、空はその人だけの空になる。」

アダン「フラン様。」
フランの手には、赤ちゃんが抱かれていた。

アダン「その子は・・。」
フラン「今生まれた私の子供よ。」

ブラウスはつぶやく。「フラン様。」

アダン「俺はまだこの城の黒魔術師でしかない。でも、愛の調べは、あなたの子供の父親に、僕を選んだんだな。」

フランは少しうつむく。

アダン「僕と結婚してください。」
アダンは跪く。

ブラウスはフランの後ろ姿を切なそうに見つめる。

フランは冷めた目で言う。「そうね。この城の黒魔術師であるあなたなら、ミシルマ女王である私の夫として、ふさわしいかもしれないわ。」
アダン「ありがとう。一生二人を守る。」
フラン「私は大切な人を守りたいの。」
アダン「もちろんさ。ありがとう、愛してる。」


九、ソラ城

使用人のユナがナターシャにミルクを飲ませている。
ユナ「サリル様、とても可愛い赤ちゃんですわ。」
サリルは微笑んで、ナターシャを受け取る。
しばらく抱いて、夫のジョージも声をかけ、使用人たちは微笑む。
すると、ナターシャは小犬のパグに変身してしまう。
皆、息を飲む。(アドリブで台詞)

ジョージは面白そうにするが、サリルは嫌がる。

十、夜
ネグリジェのサリルが、ガウン姿のジョージの下に寄ってくる。

サリル「あなた。あの子がいなくなって静かになったわね。」
ジョージ「(ため息)使用人のユナとベイが大切に育ててくれるだろう。」
サリル「そうね。使用人なのに、この城の敷地内に住めるんですもの。それってすごく幸せな事だわ。」
サリルが指を鳴らすと、使用人の老人がシャンパンを運んでくる。

ジョージ「ありがとう。」
シャンパングラスを持ったサリルが言う。
サリル「ミシルマに渡した子供は、私たちの本当の子供ではないわ。フランが嘘を見破り、アオを責めてきたら、勝ち目はあるのかしら?」
ジョージ「そうなった時は、ナターシャを殺すまでだ。可哀想だが、仕方ない。」
サリル「それはそうよね。でも、そんな事を気にしない国だったらどうするの?」
ジョージ「大丈夫さ。ラストエトアの掟がある。」
サリル「ラストエトアって?」
ジョージ「ああ、ラストエトアの事は、アオの王族にしか伝えられていない。君はこの城に嫁いできたから、まだ知らないんだな。」

二人は手をとり、見つめ合う。
サリル「その秘密を早く教えてよ。」
ジョージ「ああ、今教える・・。」
キス寸前で、場面は変わる。

十、晩餐会
ソラ城の中を歩くフランとアダン。それと護衛達。
城の敷地にある小屋からパグの鳴き声が聞こえ、フランは優しげに振り返る。

今日は、マトリアシルの晩餐会。
テーブルと豪華な料理、談笑する王族たち。

アダン「マトリアシルを一つの国にしたいと思ったことはないのか?」
ジョージ「そんな事、できるはずない。今も言語がちがうのに、どうやって一つになれるんだ?お互いに一億年の歴史がある。」
アダン「(アドリブ)」
サリル「(アドリブ)」
ジョージは笑って何か言い、アダンは怒って立ち上がる。
フランはアダンを見て、アダンは座る。

サリル「そんなに怒らないでちょうだいよ。私のお腹の子にさわるわ。」
フラン「あなた妊娠しているの?」
サリル「ええ、もちろん。」
アダン「(馬鹿にしたように笑う)人間と同じ道を歩けば、魔法の力をなくすというのに。」
ジョージ「それはあなたの国のお話だ。アオではちがう。愛する者同士が愛し合う事にどんな悪があるというのだ。」
ジョージとサリルはテーブルの上で手をつなぐ。
ジョージとサリルは笑い、アダンとフランは気まずい沈黙。

サリル「ラストエトアの事、あなた達、知っている?」
ジョージがサリルを小突く。

アダンとフランはお互いを見る。
フラン「ラストエトアについて、ぜひ教えていただきたいわ。」
サリル「教えられないの。これは、アオの王族にしか伝わっていない秘密だから。」(朝鮮語)

十一、シートルアスラ城
夜の庭を歩くフランとアダン。
アダン「ラストエトアとは何の事だろう?我々が知らない国だろうか?」
まだ庭の手入れをしていたブラウスが立ち上がる。

フラン「分からないわ。マトリアシルは、複雑に魔法が絡み合っている世界よ。私たちは誰も、ラストエトアの事を知らされていないんだわ。」

十二、十年後
アドニス、シーア、リオは森の小屋で暮らしていた。
リーン
ベルが鳴り、リオはドアを開ける。
フィース「リオー!!」
リオ「おはよう、フィース、バップ。」
バップ「僕たち、楽しみだったから、早く来ちゃったんだけど、もう準備できてる?」

リオ「うん、ちょっと待って。お母さん。」
シーア「あら、おはよう。」
フィース「すみません、僕たち早く来ちゃったんです。」
シーア「いいのよ。」
リオ「ねぇ。お父さんは?」
シーア「ちょっと待って。今、呼んでくるわね。」

庭。

アドニス「みんな待ったか?」
フィース「いえ、僕たち、今来たところです。」
アドニス「よし。子供たち三人は僕の背中に乗ってくれ。」
バップ「分かりました。」

アドニスはペガサスに変身する。

子供たち三人はペガサスの背中、シーアは箒でゲーテの木を目指す。

十三、森
森の前まで来ると、アドニスが言う。
アドニス「よし、ここからは歩こう。」
子供たち三人は森の前で立ちすくむ。

アドニス「険しい道だが、ついて来い。杖が欲しいならな。」
シーア「そうね、一緒に頑張りましょう。」
リオ「うん・・・。」
フィース「よし、がんばろう!」
バップ「(アドリブ)」

しばらく歩くと、金色の鳥が頭上を通る。
リオ「わあ・・・!」
バップ「すごい。」
フィース「金色の鳥だぁ!」

シーア「Golden Hawkよ。」
アドニス「ああ、カラス族と妖精の突然変異で生まれる魔女。」
シーア「ゴールデンハウクはとても貴重な魔法族よ。心が濁っている人には見えないの。」
アドニス「みんな、見えるな?」
リオ「うん!」
バップ「しっかり見える。」

ゴールデンハウクは魔女に変身する。
ゴールデンハウク「こんにちは。みなさんはゲーテの木に行くの?」
シーア「ええ。子供たちが杖を欲しがっているので。」
ゴールデンハウク「そう。いい杖が見つかるといいわね。」
バップ「あなたはどこから来たの?」
ゴールデンハウク「空の上から。森の番人だから、いつでもこの森を見ているの。」
ゴールデンハウクは再び変身して、空を飛んで行ってしまう。

しばらく歩き、リオが話しかける。

リオ「お父さん。僕は突然変異してないの?」
アドニス「そうだな・・。リオは、俺とシーアの子供だから、ゴールデンハウクにはなれないだろう。」
リオ「でも、お父さんはペガサスに変身できるでしょう?だから、僕もいつか・・。」
アドニス「リオにも特別な才能があるといいな。」
リオ「うん!」
アドニスとリオは手をつなぐ。

十四、ゲーテの木
フィース「ああっ、ゲーテの木だ。」
バップ「すげぇ~!でかい。」
リオは言葉をなくし、ゲーテの木を見つめる。

ザッ。男が降りてくる。
グラソル「こんにちは。僕はゲーテの木の番人。グラソル・ギディオンです。」
アドニス「こんにちは。僕たち、杖をもらいにきたんですけど。」
グラソル「そうですか。いい杖が見つかるといいですね。」
ゲーテの木はミステリアスにゆれる。
フィース「どこに杖があるんですか?」
グラソル「この木の中です。杖が欲しければ、木に登って枝にさわってください。魔法力があれば、杖になります。」

グラソル「見てください。キツツキが巣を作っていたんですよ。」
リオ「かわいい。」
グラソル「この木の中じゃ危険だから、別の場所に移してきます。皆さんはご自由にゲーテの木に登って、杖をもらってください。」
リオ「分かりました。ありがとうございます。」

ゲーテの木はミステリアスに揺れる。

シーア「アドニス。私も杖をもらってもいい?今使っている杖は十年前にもらったものだから。」
アドニス「もちろん。君から先に登っていいよ。」
シーア「ありがとう。」

シーアは木に登り、黒い杖をもらった。金色の字でアドニスと書いてある。
シーア「アドニス?」
アドニス「僕からの愛の証だ。」
シーア「まさかあなたが魔法で?」
アドニス「そんなわけないじゃないか。」

子供たちは面白くなって笑う。
バップとフィースは木に登り、杖をもらった。

アドニス「よし、最後はリオだ。」
リオ「うん!」
リオは木に登り、何度か枝をさわるが、杖にならない。

シーア「リオ、どうしたの?」
リオ「えっ。」

ゲーテの木はミステリアスに揺れている。

アドニス「リオ、木から降りるんだ。」
リオ「うん。」

フィース「ええ。」
バップ「杖を持っていない。」

シーア「杖をもらえなかったの?」
リオ「うん・・・。」

アドニスとシーアは心配そうに顔を見合わせる。

十五、帰り道
フィースとバップはシーアの後について、ワクワクと切なさで複雑な気持ちの中、帰り道を歩いた。

リオはアドニスと手をつないで歩く。

アドニス「どうして、お前だけ杖がもらえなかったのかな?」
リオ「杖なんかいらないよ!杖がなくても魔法は使えるんでしょ?」
アドニス「うん。でも杖があると、魔法が強くなるんだ。ゲーテの木から杖をもらえなかったという事は、リオに魔法力がない証拠かもしれない。」

リオ「ええ、どうしてそんなにひどい事を言うの!お父さんなんか大っ嫌い。」

気まずい中、5人は家路を急いだ。

十六、たき火
夜、家の前でアドニスはたき火をして、シーアとリオも一緒にいる。

リオ「僕の魔法は見つかるのかな?」
アドニス「それは急がない方がいい。」
シーア「大丈夫よ。きっとすぐ見つかるわ。」

アドニス「明日は忙しい。グリータ達がまた悪さをしそうだから。」

魔法コウモリのグリータは森の茂みから、三人の様子をうかがっていた。
リオ「グリータのせいなの?僕の魔法のこと。」
シーア「ちがう。グリータはお父さんの事が好きなだけよ。」


十七、予兆
翌朝、アドニスが出勤のため、ペガサスに変身して空を飛んでいると、グリータ達がアドニスの背中に止まった。アドニスが大きく動いて、グリータ達を追い払ったが、また飛んできて、アドニスの邪魔をした。
ペガサスのアドニスはグリータ達に囲まれながら、懸命に空を飛ぶが、一匹のグリータはアドニスの気を引くために、森に火をつけようとした。

アドニス「ダメだ!」
アドニス「落としてやる。」
アドニスは人間の姿に戻り、そのグリータをつかまえると、空の上から、森の泉の中に落としてしまった。

アダンの占いも凶が続いていた。アダンは灰占い師のサシムに会いに来た。
サシムはシートルアスラの町で、占い業をしている。
サシムは灰占いをして、アダンに言った。
サシム「災いが起こる。」

十八、学校
リオは森の中の学校に行っている。
学校で習う事は、人間と同じである。

十九、放課後
リオ、フィース、バップの三人が一緒に帰っている。
フィースは杖を取り出して言う。
フィース「杖があると便利なんだよ。魔法が使いやすくなるんだ。」
リオ「ふーん、ちょっと見せて。」
フィース「いいけど、指紋をつけないようにしてくれよ。」
リオ「わかった。」
リオは、フィースが渡した眼鏡拭きを使って、杖をまじまじと見つめる。

バップ「リオだって、もうすぐ魔法が見つかるさ。」
リオ「うん。」
リオはフィースに杖を返す。
三人は黙って歩くが、リオが気を使って言う。

リオ「フィースとバップ、ちょっと魔法を使ってみせてよ。」
フィース「ええ?うん。」
バップ「いいけど、リオは気にしないの?」
リオ「うん、気にしない。」

フィースとバップは魔法でキラキラした光や絵、雲煙を出したりして、リオはそれを追いかけた。

三人は夢中になってしまっていて、気づいたら、ミシルマとアオの境界まで来てしまっていた。

フィース「へ?!もうこんな所に?」
バップ「俺、国境には親とだって来たことないんだぜ。」
リオ「魔法だよ。二人が出した魔法の雲が僕たちをここまで連れてきたんだ。」
フィース「ええ?そんなことある?」
リオ「あるよ!魔法だもん。ねえ、国境をこえてみない?見張りが誰もいないみたいだよ。」
バップ「ダメだ。もう帰ろう。」
リオ「やだ、行ってみようよ。」
フィース「リオ、子供っぽいぞ。いい加減にしろよ。」
リオ「・・・。分かった。」
バップ「よし、じゃあ早く帰ろう。」

フィース「リオって少しわがままじゃないか?」
フィースとバップは話しながら帰り始める。

リオ『綺麗な石がある。』 
リオは国境の向こうに蒼い石があるのを見つけて、手をのばす。

リオはなんとか手を伸ばして、石をつかもうとする。
リオ『よし。』

フィース「リオ、早くしてよ!」
リオ「うん!」
リオが振り返った時、サイレンが鳴り響いた。

三人は息を飲み、リオは石を捨てたが、もう遅い。
アオの兵士が来てしまったのだ。

三人は全力で逃げ、森で犬の散歩をしていたお爺さんに助けられる。
お爺さんが魔法を使い、兵士たちの記憶を消したのだ。

お爺さんは三人を家に入れ、お茶を出してくれた。
パトリス「無事でよかった。ここいらはアオの兵士が巡回しているから、捕まればすぐに牢屋に入れられてしまう。」
三人「・・。はい、ごめんなさい。」
パトリス「次から気をつけてくれればいいんだよ。私の名前はパトリス・リーン。君たちの名前は?」
バップ「バップ・ドナトゥです。」
フィース「フィース・ロイヤルです。」

リオ「僕はリオ・ロジスタンです。」
パトリス「リオ?」
リオ「はい・・。」
パトリス「そうか、元気でよかった。」
リオ「え?」

フィースとバップも首をかしげる。

帰りはパトリスの魔法の馬車で送ってもらうことになった。

二十、放課後
別の日、学校が終わる頃、リオは考えていた。
リオ『もう一度、パトリスさんに会って話がしたいな。』

放課後、バップとフィースが話しかける。
バップ「放課後、みんなでサッカーをしないか?」
リオ「ううん。いい。僕、予定があるんだ。」
フィース「へえ、何の予定があるんだい?」
リオ「宿題。」
フィース「え?」
バップ「宿題なら俺たちにだってあるよ。」
リオ「ちがうよ、僕だけたくさん出されているの。ほら、二人にはもう魔法力あるだろう?だから、僕にはやらないといけない宿題がたくさんあるのさ。」
バップ「へええ。」

リオ「じゃあね。また明日。」
バップ「うん、バイバイ。」

フィース「リオって変わっているよな。」
バップ「うん。」
フィース「追って確かめた方がいいのかなぁ?」
バップ「大丈夫さ。俺たちと同じ年齢の子供なんだし。」

二十一、リオ、アオへ
リオは走って、パトリスの家に向かった。
途中、魔法の雲と共に走り、かなり遠くまで来る。
パトリスの家のドアをノックするが、誰も出てこないので、リオは国境の辺りをふらふらとうろつく。
国境の柵からアオを見ていると、兵士に捕らえられてしまう。

森と国境の番人のホリーが助けに来る。。ホリーは兵士達の周りを飛び回って戦うが、負けてしまう。

その頃、家に戻ってきたパトリスは、リオの鞄についていたキーホルダーが落ちているのに気づき、慌てて森に探しに行く。

魔女の姿に戻ったホリーは森の中を呆然と歩き、パトリスはホリーに気が付く。

パトリス「これはこれは。金色の魔法使いじゃないか。」
ホリー「・・・。」
パトリス「男の子を見なかったかい?」
ホリー「男の子はさっきアオの兵士に捕まったわ。」
パトリス「ええ?なぜそんなことに。」
ホリー「ごめんなさい、番人である私が弱かったせいなの。これから報告に行かなければいけない。」
ホリーはゴールデンハウクに変身して飛んでいってしまう。

二十二、アドニスの家
アドニスとシーアは、リオの帰りが遅い事を気にして、家の中で話している。
リーン
シーア「リオかしら。」
シーアはドアを開け、息を飲む。
シーア「金色の魔女。」
アドニス「こんばんは。ゴールデンハウクの君がどうして。」
ホリー「ごめんなさい。リオが、国境付近でアオの兵士に捕まってしまったんです。」
シーア「(アドリブ)」
ホリー「(アドリブ)明日、パトリスと一緒にソラに行ってみるわ。」
アドニス「パトリスさんというのは?」
ホリー「リオの本当のお父さんよ。」
アドニス「ええ、ではあなたがリオの本当の母親なのかい?」
ホリー「いいえ。リオの本当のお母さんは、ジョージ国王の妹アズラ様よ。リオが生まれてすぐに、ラストエトアに連れていかれたの。」
シーア「ラストエトア。」

二十三、ソラ城
国王ジョージとサリルは、王座に座り、家来たちと話している。
そこに家来が入ってきて、リオを捕らえた事を告げる。
ジョージはニンマリと笑い、サリルと顔を合わせる。
二人と家来の会話。

城の中にゴールデンハウクが入ってくる。
サリルには、はっきりと見え、一瞬言葉を失う。家来と話を続けるジョージに耳打ちをする。

サリル「ゴールデンハウクが。」
ジョージは目をこするが、うっすらとしか見えず、家来と会話の続きをする。サリルは目でゴールデンハウクを追う。

すると、パトリスが入ってくる。そして二人にリオを釈放するように懇願する。
サリルとジョージは実娘のスーラさえいれば何もいらない事を告げ、スーラを呼ぶ。

二人はスーラを可愛がるが、隙を見たパトリスがスーラに金縛りの魔法をかける。
すぐにジョージも応戦するが、パトリスの方が強力な魔法を持っていた。
ジョージは小声でもらす。

ジョージ「さすが、我が妹アズラが選んだ男だ。」

ジョージ「しかし、アズラは戻ってこない。ラストエトアに連れて行かれた。それはつまり、死を意味する。」

パン
ついにスーラにかけられた魔法が解ける。

ジョージとパトリスの問答があり、リオの釈放が許可される。



二十四、ソラの町
リオは釈放されたが、パトリスはリオを引き取れなかった。
代わりにアドニスとシーアが来て、リオにハグをした。
アドニスとシーアはリオを叱る。
リオ「ごめんなさい。」

アドニスとシーアは賑やかなソラで少し買い物をすることにする。
二人が店に入っている時、リオは静かに店から出て、通りを行きかう人を見た。
パグが通りを歩いてくる。
ドン
リオは兵士にぶつかってしまう。
兵士「(アドリブ)」
リオ「ごめんなさい。」
兵士「(アドリブ)」
パグが来て、兵士の脚にまとわりついて、銃を奪い、兵士はパグを追いかける。シュー
パグはナターシャに変身する。
ナターシャはリオが城で捕まっていた男の子だと知っており、なぜ一人になったのか聞く。
リオは両親が店の中にいる事を告げ、ナターシャは納得する。

ナターシャ「私の名前は、ナターシャ・ポリー。あなたの名前を教えて。」
リオ「僕の名前は、リオ・ロジスタン。」
ナターシャ「変わった名前ね。まるで王族みたい。私は城に住んでいるけど、王女ってわけじゃないわ。あなたって魔法使い?」
リオ「ううん、まだ違う。」
ナターシャ「そう。私はパグに変身できるの。さっきもそうやってあなたを助けたでしょう。魔法を使えると素敵な事がたくさんあるのよ。」

アドニスとシーアが店から出てくる。
シーア「リオ、お友達ができたの?」
ナターシャ「私の名前はナターシャ・ポリーです。私はソラ城に住んでいるので、この子が釈放された事を知って、守るために追いかけてきました。」
シーア「そうだったのね、ありがとう。」
リオ「ナターシャはパグに変身できるんだよ。」
アドニス「へええ、そうなのかい。すごいんだね。」
アドニスは優しい目をする。
その時、不思議な事に、通りの人が開き、その向こうにパグを連れたフラン女王が立っていた。

ナターシャ「私、もう城に帰るわ。さようなら。お元気で。」
リオ「うん、また会えるといいね。」
ナターシャ「ええ。」
ナターシャはパグに変身して行ってしまう。

二十五、夜
アドニスとシーアは、ナターシャがリオと交換されたフランの娘だと悟り、リオに本当の事を話す。
リオはパトリスとナターシャに会いたがるが、アドニスとシーアは、勝手に会いに行ってはいけない事と、これからも自分たちがリオの両親で、リオを大切に想っていることを話す。

二十六、森
別の日、リオは約束を破り、パトリスに会いに行こうとしてしまう。

その頃、パトリスは、ゴールデンハウクのホリーと話していた。
パトリス「最近、森がざわめいているんだ。(アドリブ)」
ホリー「もうすぐ、ラストエトアの視察の時期よ。特に今回の視察は、十年に一度、スカル様が訪れる大きな神事になるわ。」
パトリス「(アドリブ)なぜ、そんなにラストエトアに詳しいんだ。ラストエトアの事は、アオ王族にしか伝えられていないのに。」
ホリー「私はアオ王族の血を継ぐ、お母さんの子供だもの。お父さん、お母さんが亡くなってからもう十年になるのね。」
パトリス「(アドリブ)」
ホリー「我が弟、リオに魔法力は現れないのは、不思議な事だわ。」

リオはパトリスの家の前まで来たが、また誰もいなかった。
リオ「やっぱり、僕、本当のお父さんに会いたいよ。」

二十七、ソラ城

サリル「スーラ、首はまだ痛むかい?」
スーラ「はい、痛みます、お母様。(朝鮮語)」
サリル「ふん、私の娘を傷つけるとは許せぬ。パトリスとその邪悪な子供など消してくれるわ。」

ジョージ「もしなんなら、あの娘を殺してもいい。」
サリル「あなた、戦争を始めるつもりなの?」
ジョージ「俺に良い考えがある。もうすぐラストエトアの視察の時期だ。今回はスカル様が来る。俺は命をかけてこの国を守るし、ミシルマを乗っ取るつもりだよ。」

サリルは困ったように外を見ると、可愛いナターシャがお花に水をあげており、目を細めた。
サリル「あなたが命をかけるつもりなら、私、王族でなくなったっていいわ。戦争なんて堅苦しい事やめて、もう少し楽しみましょうよ。」

(ジョージは国を守る計画のため、ミシルマの国賓をどうしても呼び寄せて、自分を殺させる必要があった。)

ジョージ「我々の息子を返してもらおう。」

ジョージはリオを捕らえるように、家来に命令し、家来は命令を聞くなり、消えた。



二十八、リオ、捕まる
パトリスの家の前で遊んでいたリオは、アオの家来に捕らえられる。その様子をちょうど帰ってきたパトリスとホリーは目撃する。
お互いに魔法で戦うが、家来がナターシャの命も狙うと脅したため、二人はあきらめる。

ホリー「なんて馬鹿な子なのかしら。」
パトリス「俺がそばにいればよかった。」


ホリーはもう嫌になってきた。でも、報告するしかない。ホリーはシートルアスラ城に行く事にした。ホリーは金色の鳥に変身し、飛び立つ。
パトリスはカラスに変身して、ソラ城に向かった。

シートルアスラ城のブラウスが曇り空を見上げると、ゴールデンハウクのホリーが飛んできた。
ホリーは、フランの部屋の窓を覗き、フランは窓を開けた。
ホリーが、リオが捕まった事を報告すると、フランはすでにその事を知っていた。

フランとホリーが城の階段を降りていくと、アダンはすでに戦いの準備をしていた。


二十九、ナターシャの家
家来が家の周りに押し寄せて、ユナとベイとナターシャは怯えていた。
すると、家の電気が消え、不気味などくろが浮かび上がった。
これはアダンの黒魔術である。
アダンが現れて、三人を救い出した。

家来がナターシャを捕らえそこねた事をサリルとジョージに報告する。

ジョージは王女様(ナターシャ)をミシルマに戻したかっただけで、いじめるつもりはないと言う。

三十、アドニスの家
ホリーが再びアドニスとシーアにリオが捕まった事を報告する様子。(台詞なし)

三十一、シートルアスラ城
ナターシャは初めてシートルアスラ城を訪れる。
ナターシャ「ここは・・・?」
ユナとベイは美しい庭で本当の事を話し、ブラウスはその様子を優しげに眺める。

三十二、ソラ城の牢屋
リオがいる牢屋の窓に一羽のカラスがとまり、音をたてたので、泣いていたリオは顔を上げた。
リオ「なんでこんなに僕ってバカなの?」
カラスはパトリスの声で話し始めた。
パトリス「君はバカなんかじゃない。可愛い我が息子よ、いつかマトリアシルの王となる日が訪れる。」
リオ「パトリスさん?・・・もしかして、僕の本当のお父さんですか?」
パトリス「再びこの手で君を抱きしめたかった。」
カラスは飛び立った。
リオ「待ってよ!僕の本当のお父さん!」

リオ「うう・・。」
リオは泣いてしまう。

三十三、ソラ城
フランとアダンと家来たちは、ジョージとサリルに対面していた。

ジョージ「昔の契約など撤回しよう。娘は返すから、息子を返してくれ。」
アダン「なぜそんな事をするんだ?戦争になったら困るのはお互い様だろう。」
ジョージ「戦争はしたくない。」
サリル「ええ。戦争をしないからこそ、契約を撤回したいの。」
アダン「でもリオは、ずっとミシルマで育ってきたんだ。まだ子供だし、アオにはまだ返したくない。」
サリル「そう、子供に無理強いは出来ないのは分かるわ。でも、リオは私たちの一人息子よ。大きくなったら必ず返してね。」
フラン「ちがうわ。リオはパトリスとアズラ様の子供でしょう?」
ジョージ「嘘だ。誰がそんな事を。」
ジョージは手の中で魔法の鍵を回し始める。
アダン「俺たちは最初から分かっていたさ。君たちに愛の調べが起こらない事くらい。」
サリル「失礼な男ね。リオは本当に私たちの息子よ。」
ジョージが口を開きかけた時、魔法にかけられた家来はジョージを殺してしまう。
一同は叫び声を上げ、アダンは家来を取り押さえ、城の中にはカラス(パトリス)が入ってくる。

フランはジョージ国王を殺した家来に杖を向ける。
パトリス「フラン様おやめください。あなたの綺麗な手を汚してもらいたくありません。」

再びカラスとなったパトリスは横たわったジョージのそばにいく。
サリル「これ以上やめて。旦那に何をするつもり?」

パトリス「サリル様。これは、マトリアシルのために私が使う最後の魔法です。ラストエトアの力は絶対に使ってはいけない。」

パトリスはジョージの代わりに死に、ジョージは目を覚ました。
計画が失敗に終わったジョージ。
王家に伝わる魔法の鍵を台無しにしたことを悔しがり、パトリスを罵るジョージ。
サリル「あなた、これ以上やめて!(続きはアドリブ)」


リオは戻ることになった。

三十四、夜
ナターシャはフランと抱き合い、ユナとベイと共にミシルマで暮らすこととなった。


三十五、ラストエトアのスカル
ついに十年に一度のスカルの世界見聞の時が来た。
夜空に幻想的な船が浮かんで、そこに長身で銀髪の白いマントを着た男が乗っている。

字幕 スカル ラストエトアの支配者

スカル「マトリアシルを襲おう。」
スカルの妻エディルが妖艶にたずねる。
字幕 エディル スカルの妻
エディル「マトリアシルでどんな悪い事が起きたんですか?」
スカル「ただ襲いたいから、雲に襲わせるんだ。大蛇(コブラ)に襲わせてもいい。」
エディル「まぁ酷い。なぜって・・、止める方法はあなたしか知らないんですから。」
スカル「簡単さ。例えば、君の一番大切な物は?」
エディル「一番そばにあるもの。」
スカル「それを失えばどうなる?」
エディル「この世では生きていけないわ。」

三十六、アダンとフランの離婚
シートルアスラ城の近くの家に住むこととなったナターシャは、偶然ブラウスと知り合いになる。

フランは離婚と王位継承の証明書をアダンの前に差し出す。
呆然とするアダンに、フランは本当のことを明かし、ブラウスと共に城を出ていってしまう。
城で泣き崩れるアダン。

泣きはらした目で王を映す鏡の前に立つと、鏡は再びアドニスを映した。
アダンはアドニスの家に行く事にした。

三十七、王位継承
アダンはアドニスとシーアに王位継承について話す。
影からコッソリと目撃するリオ。

アドニスは迷った上で、王位継承を決めた。

リオ、アドニス、シーアの会話。
サシムとペラも来る。

学校でリオとバップとフィースの会話。

三十八、王位継承の儀式

三十九、災い
不吉な風が吹き始める。空は黒く、雷が鳴っている。
各地で金色の船の目撃が相次いだ。
【魔法テレビのニュース】


大嵐が起き、パイロットのお爺さんが運転する魔法の船が嵐の雲と戦う。

サシムの灰占いの館でも不吉な結果が連発していた。
不吉な結果の後に、灰でどくろができあがった。

バタン
サシム「いらっしゃいませ。」
アダン「こんにちは、サシム。」
サシム「これはこれは、アダン様。」

アダンは災いについてサシムに相談する。
アドニス国王についても話す。
サシムは昔ながらの言い伝えを話す。
ラストエトアの事だ。

サシムは占い、灰は金色の鳥になる。

アダン「美しい。ゴールデンハウクだ。」

四十、江戸
ミシルマの首都は江戸である。
未来的な都市にスーツの大人達に混ざり、着物姿の役人もいる。
江戸で政治が行われている。
ハイテクな感じのミシルマ国会を歩くアダンとホリー。

四十一、回想
アドニスとシーア、アダン、ホリーが黒魔術のテーブルを囲んでいる。

アダン「ラストエトアについて、君が知っている事を教えてくれないか。」

ラストエトアはマトリアシルにおいて、ミシルマ、アオに続く第三の国であること。
ラストエトアは選ばれた魂だけが行く事ができる死者の世界であること。
地上で暮らすものたちに、幸福だけでなく災いをもたらす国で、魔法では絶対に勝てない事。
古くから、ラストエトアはミシルマよりも、アオ側にそびえる国であり、ラストエトアの事は、アオ王族にしか伝えられてこなかったこと。
ホリーが知っているわけは、自分がリオの姉であり、アオ王族のアズラの娘であること。

ここでまた回想。
アズラと幼いホリー。
幼いホリーは、いつかパパの国ミシルマは、ラストエトアの力でアオに負けちゃうのか尋ねる。
アズラは教える。
アズラ「ラストエトアに通じるドアは世界にたった一つ。意外な場所にあるのよ。この世界は不公平ってわけじゃないわ。」

四十二、江戸
ラストエトアに通じるドアは、ミシルマの首相官邸の中にあるのだ。
アダンとホリーは約束をしてあり、官邸の中に入れてもらう。
二人は総理と対面する。
総理「元国王陛下。」
二人は総理にラストエトアについてたずねるが、総理は知らないと言う。
アダンは無理に官邸の奥まで入って行く。
総理「お待ちください、元国王陛下。」

ようやく怪しげな部屋にたどり着いた。
そこは首相官邸が攻撃された時に総理が隠れる場所だ。
その場所には、陰陽術がかけられて魔法が封じられていた。
アダン「陰陽術。これは古くからある魔法だ。総理、これは一体どういうことですか?」
総理は本当にラストエトアについて何も知らなかった。
ここは化け物が出る場所なので、総理は陰陽術をかけて封じてあるのだった。
アダンはこの場所から別世界への行き来ができるのかたずねる。
総理は分からないと言い、陰陽術を解き祓い、その部屋に椅子に座ると気絶してしまう。
驚くホリーとアダン。すぐに護衛がかけつける。

アダン「おそらくこの部屋からラストエトアに行けるはずだ。」
ホリー「私も一緒に行くわ。お母様に会いたいもの。」
アダン「危険だからダメだ。俺一人で行ってくる。」
アダンは魔法の言葉を唱えると、部屋は揺れ、アダンは消えた。

ホリー「アダン様!お気をつけて。」


四十三、ラストエトア
目を閉じたアダンは白い空間を黒い煙と共にゆっくりと落ちていく。
アダンは真っ暗な部屋に来る。外ではサイレンが鳴り響いている。

アダン「空襲だ。戦争の時代に来てしまったのだろうか?」

ガタン
そこにスカルが立っていて、アダンはラストエトアにたどり着いた。

アダン「ここは?」
スカル「ラストエトア。」
エディル「よく来てくれたわね。」

スカルは先ほどの空襲の光景は、アダンが一番恐れている光景だと教える。
アダンとスカルとエディルの問答。
アダンは災いを止めるように頼む。

スカルはアダンの一番大切な物を求めるが、エディルはアダンがミシルマの王でない事を指摘する。

アダンは焦り、怒鳴る。
スカルはミシルマだけでなく、アオ、マトリアシル全体を襲う予定を通告する。

しかし、スカルは、王族全員から大切な物を捧げてもらえば、止めると約束した。

アダンの黒い煙が、アドニス、リオ、ホリー、ジョージ、サリル、スーラを包む。


ミシルマの国王であるアドニスの一番大切な物こそ、最も尊い捧げ物だった。
それは、シーアの命である。
シーアの時間は止まってしまう。

ここで戦いが起きる・・。

ラストエトアの住人となっていたアズラが来て、リオ達を助ける。
パトリスの声が鳴り響く。

何と言っても、戦いは終わらない。

そして、全員が大切な物を奪われる。
ホリーは金色の力を失くし、ジョージとサリルは愛を失った。
リオとスーラは永遠に魔法が手に入らない体となった。
そして、アダンの一番大切な物は、シートルアスラ城の黒魔術部屋だった。それらは全て風に飛んでいき、最後に王を映す鏡が割れてしまう。

森の家でシーアを抱きかかえるアドニスにサシムがアドバイスする。
そしてアドニスはスカルに、シーアの命が消えるよりも、愛を無くして生きていく方が辛いと告げる。

倒れていたシーアは目を開け、アドニスと書かれた黒い杖をつかむと、真っ二つに追ってしまう。
目を変えたシーアは黒い翼を生やし、飛び去る。

リオは絶対に魔法が手に入らない体になった。

いろいろな事があり、今回は一件落着する。


十年後。
大人になったホリーとスーラ。

そして、最後に大人になったリオである。

バラバラになった王を映す鏡の前に立ったが、鏡はリオを映さなかった。

サシムとアダンがそれぞれの場所で占いをしている。
その蒼白い灰と黒い煙は混ざり合い、空飛ぶ船を作る。


スーラ、ホリー、アダン、アドニス、人格を変え別の場所に住むシーアは夜空に浮かぶ金色の船を見た。

リオもそれを見た。

End


matriacil
Errand of the sky
魔法の国の子供

By shino nishikawa

Matriacil

Matriacil

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-02-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted