背中

何を憎んでいたのかも忘れて

何を望んでいたのかも忘れて

すべては溜息の中で

灰になっていく

新しいものでは満たされなくなって

後ろを気にしながら歩いている自分がいる

みずから惨めになりにいく自分がいる

あなたの後ろは

私にとっての前だったから

見過ごしてきたものが

見落としてきたことが

あまりにも多いみたいだ

二度と巡り会えない位置まで

離れてしまったみたいだ

大波が来る前に砂浜に文字を書いているような

そんな生き方しか出来なくなった私を

どうか 溜息の中で灰にしてください

背中

背中

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-07

Copyrighted
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