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あおい はる

 いきている、と思う瞬間は、朝、目をさましたとき。べつに、眠ることを、おそれているわけではないし、夜はちゃんと、眠くなるし、いきている、なんて、しみじみと感じ入ることなど、めったにない。起きてから数時間経って、ああ、いきているなぁと、なぜか、ふと思うときは、朝のその瞬間ではないだろうかと想像しながら、立春を過ぎたとはいえ、まだ二月なのに、春のようなあたたかさに、ワンピースの下に着たタートルネックの薄手のニットを、脱ぎたい気持ちではあるけれど、脱ぐと寒い気がするので、脱げないでいる。日曜日である。
 車で一時間ほどのところにある、ショッピングセンターのなかの本屋さん。さほど大きくはなく、品揃えもそんなに、という感じなのだけれど、地元の本屋さんでは見たことがない本に、出逢うことがある。改めて思ったのは、本屋さんとは、時間の制限がなければ幾らでも滞在できる場所である、ということ。とはいえ、さいきんはコロナウイルスのことも考慮し、立ち読みや、あまり長居はしないように、とも思うのだけれど。文庫の棚を、出版社ごとに、あ行から、じっくりとかくにんしてゆくのは、さほど品数の多くない本屋さんでも、時間がかかる。でも、それが楽しい。新刊情報など把握せず、棚に並べられている本を眺めて、おもしろそうな作品を探したり、続編が出ているのを知ったり。時間があるときは、ふだんあまり読まないジャンルの棚を観察して、興味を惹かれた本を手に取り、新たに開拓してゆくのも、また楽しかったりする。
 ああ、好きな時間だなぁ、と思いながら、わたしはきょうも本を買った。

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