サボテン

かつて私の隣にいたあなたは
今やガラスを一枚隔てた向こう側にいる

いつでもいつまででも出来たあなたとの会話は
今ではたったの15分

あなたが与えてくれたこの手の温もりも
ガラス越しでは何も感じられない

賞賛で溢れた数々の声も
非難と罵詈雑言の嵐に呑まれた

苦しくて苦しくてたまらない

でも私はあなたを信じてる

今の私があるのはあなたのおかげだから
あの子がいるのはあなたのおかげだから

私は信じて待ち続ける

「行ってきます」と言われて
「いってらっしゃい」と返す

「ただいま」と言われて
「おかえり」と返す

そんな当たり前の日々が戻ってくる時を

ガラスが崩れこの呪われた日々が終わる時を

あなたと一緒にサボテンを選んだ日常が戻ってくる時を

サボテン

サボテン

花言葉は、「枯れない愛」。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-06

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