アクアナイトリウム

 缶ビールを握りしめる力を少し強めて、それがへこむ感触がなんとなくわかるぐらい酔っている。知らない街は何故だか美しく見える。おそらく自分がまだ歩いたことないなら新品、この汚い靴が踏み入れたことないなら綺麗、だと思う。酒のせいで眼の力が弱いから、太い道路を走る車のライトが何台も連続して光線になる。それに沿って街灯が一定感覚に止まって光るから、交ざって、アクアナイトリウム。水槽いっぱいに夜が注がれて、溺れた姿をきっとだれかに見られてる。

アクアナイトリウム

アクアナイトリウム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-05

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