一服の背徳感(アーカイブ4)

森下巻々

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春から夏にかけて、何か新しいことに挑戦したくなる方はいらっしゃいませんか。中でも、健康にかかわる運動や食事には関心の高い方が多いかも知れません。何か思いきって始めてみると、思わぬ出会いがあるかも……。この物語の主人公には、あるんです。

   *
 有村和雄は五五歳である。有名スーパーマーケットを展開する或る大手企業に入社してから、二〇年以上、彼は店長やバイヤーなどを担当してきたのであったが、この春からは警備員として働きだした。その企業からは、一旦退職した上で、警備部門に新たに雇用されるという形でであった。
 生活が変化したことで、これを機に何か新しいことを始めたい、という気分になってきていた。
 しかしながら、何から始めてよいか分からない。そんなとき、二八歳になる娘、文美からウォーキングを勧められたのだった。まずは、健康維持を兼ねて、長距離を歩いてみたらどうか、というのだ。
 妻も賛成したし、和雄自身も、警備員としての体力を考えて実行することにしたのだった。
 同じコースを歩くと飽きるので、できるだけいろいろな景色を見ることにした。
 或る日、駅近くの商店街に入ってみると、二階建てと思われる古い建物の前で、エプロン姿の女性がホウキを使って掃除をしていた。
 昔は賑わっていた通りも、今は寂しい感じになっていて、ほかに人は見当たらなかった。シャッターを閉めたままの建物も多いのである。
 女性の前を通りかかったとき、彼女と目が合い、会釈した。その時間、その目が何かを訴えているようにも感じられ、不思議だったが、歩を止めようとは思わなかった。
 しかし、数歩進んだとき、彼女から声をかけてきた。
「あのー、すみません」
 和雄は振り向いて、
「なんでしょうか」
「有村さんではありませんか。文美ちゃんのお父さんでは?」
「そ、そうですが……」
 彼女は笑顔になって、
「やっぱり! 私、何度も、お会いしてるんですよ。中学高校と、暇があるとお家にお邪魔させてもらっていたので……」
 彼女は名前を深川亜也香と言って、和雄の娘と同級生だったそうである。そう言えば、アヤちゃんという娘が、よく文美の部屋へ遊びに来ていた。
 顔の方はじっくり見ても、ピンとはこなかった。しかしながら、鼻がツンと上を向いた感じの美人顔であるから、当時から美少女であったろうし、覚えていても良さそうだと思った。子供の友達としてしか見ていなかったので、気づかなかったということであろうか。
 娘の同級生ということは、二八歳前後なのだろう。長い黒髪をポニー・テール形に結んでいる姿は、青春という言葉が似合うキラめきを感じさせながらも、既に大人の雰囲気が醸し出されている。
「最近、会ってないんですけど、文美ちゃん元気ですか」
「ええ、二、三週間に一度は家に帰ってきますよ。仕事も愉しいらしいです」
「良かった……」
「あなたは、ここにお住まいなんですか」
「いえ、建物を借りて、喫茶店を始めたばかりなんです。……そうだわ。コーヒー、飲んでいかれませんか。御相談したいことを思いつきました」
「相談、ですか……、それじゃあ、一服していきましょうか」
   *
 和雄は喫茶店内に入ると、一つのテーブルを勧められ、ソファに坐った。
 室内用のエプロンに着け替えた亜也香は、コーヒーの準備を始め、そちらに集中しているようだ。
 こうして見ると、彼女はスタイル抜群で、エプロンの下は、クリーム色のTシャツと黒色のズボンという姿なのだが、お臀の張りが魅力的である。ズボンがタイツのようにピッタリと肌に張り着く素材と見え、形が強調されてしまっているそれには、目を何度も遣ってしまいそうになった。
 やがて外が、騒がしくなった。
 急な雨のようだった。ドシャ降りだ。
「お待たせしました」
 亜也香が和雄の前に、銀色のプレートを置いた。それには、コーヒーの入ったカップ、苺の一つ乗った可愛らしく小さなケーキのある皿、フォーク、おしぼりがあった。
「有難うございます……」
「あのう、私に何か付いてますか」
「えッ? いや……何も。外、雨降ってきましたね」
「ええ。店閉めちゃいましょうか」
「えッ? いいんですか」
 亜也香は入り口の方へ向かって、
「いいんですよ。どうせ、お客様は来そうにありませんから……」
 ドアの鍵が閉められ、カーテンが閉められた。
「ああ、おいしい……」
 和雄がコーヒーを口にして言うと、彼の側のカウンター席に腰を下ろした亜也香が、
「嬉しいです。……それで、さっきの話なんですけど、私に何か付いていますでしょうか」
「いいえ、なんにも……」
「間違っていたら、失礼になってしまうけれど……文美ちゃんのお父さん、ずっと私のお臀を見ていたみたい……」
 和雄は、それを言われると、否定して見せるより前に、頬がカーと熱くなってしまった。彼女が、娘の同級生であると思うと、余計に動揺する心が生まれた。娘に伝わったらどんなことになるか、そこまで思考は回転した。
「も、申し訳ない。とても魅力的だから……」
 亜也香が憤慨しているとしたら、正直に言うしかないのではないか、と感じ、恐るおそる謝った和雄だったが、彼女は意外にも、
「怒ってるんじゃないんです」
 笑顔を見せて、
「嬉しいです。私をそんな風に見てくれるなんて……、お臀が好きなんですか? いいんですよ、もっと見てくれて……」
 立ち上がると、カウンター・テーブルに手を着いて前屈みになり、ヒップを和雄の方に向けた。
「い、いや、そのお……、相談があったんじゃありませんか」
「そんなのは、後回しです。触わってもいいんですよ」
「い、いや、そのお……」
「私が、文美ちゃんの同級生だから、触われないんですか。私を目で犯しておきながら、責任をとる覚悟はないってことですか。あの真面目な文美ちゃん、お父さんが私のことをいやらしい目で見ていたなんて知ったら、ショックを受けるでしょうね」
 怒鳴るように捲し立てられたので、和雄はびっくりして立ち上がり、声をふるわせながら、
「ど、どうしたら、納得してくれるんだい?」
 亜也香は低声で、
「私との秘密を作ってください」
「えッ?」
 彼女は、彼の正面に近づくと、そのジャージ・ズボンの縁に手を掛けてきたのであった。
   *
「何を?」
「お口でさせてください。まだ、ここまでしか勇気がないから……」
 亜也香はしゃがむと、和雄のズボンを引き下ろした。トランクスが露になった。
 間をおかず、彼女が柔らかな布地越しに股間を撫で回してきた。その動きは、とても淫らな感じだ。
「あったかいわ」
「そ、そんなことしたら……」
「何が、そんなことなんですか」
「い、いいえ。なんでもありません」
 上の方から見る亜也香の顔もやはり美人だ。和雄の心はもう、快感への準備を整えてしまっていた。
 亜也香がトランクスを引き下ろして、直接ペニスを触わり始めた。
「ふうー」
「気持ちいいですか」
 和雄は頷ずいたような、頷ずかないような曖昧な態度になってしまったのだが、オスの象徴の方は、ゆっくりとだが確実に大きさを増し、正直な姿を見せている。
「文美ちゃんのお父さん、見た目が若いけど、こっちもやっぱり元気ですね」
「はあー」
 息を漏らすだけの和雄に彼女は続けて、
「奥さまとは今でもあるんですか」
「い、いいえ……」
「そうですか……」
 ペニスは、もう上を向いていた。オナニーは今でもすることがあるとは言え、女性と最後に交渉したのは数年も前、スナック店経営者と浮気して以来である。
 おそらく今、妻を抱こうとしたとしても、こうはならないのではないか。股間が熱くなるのは、相手が亜也香だからだ。
 彼女は、肉茎をつまむようにして持つと、顔を近づけ、その先をペロリと舐めた。
 和雄は、一〇分前には期待もしていなかった淫らな刺戟に、世界が変わったかのような感覚を味わう。まるで、童貞を失ったときのような新鮮な気持ちである。
 亜也香が、続けてペロリペロリと舐めて、肉笠の周囲は唾液でまみれる。舌を回すような動きは、実に巧みだ。
 つまんでいる指を上下にしごくような、時おりの動作も加わって、ペニスは最大限に勃起した。
「あッ。ほらあ、有村さん、ネバネバが出てきてる。ほらあ」
 亜也香が、舌を伸ばしたまま顔を離すと、キラキラと照明が反射する液が糸を引き、その瞬間、直ぐに彼女は糸を落とさせまいとするかのように、ペニスの先へと吸い付き直した。その姿は非常に卑猥な感じに思えた。
「ああ、やらしいよ、君」
 彼女は、素早く手でしごきながら、
「いやらしい女は嫌いですか? そんなことはないでしょう? こんなにビンビンにして」
「御両親が知ったら、それこそショックを受けるよ」
「そんなこと、おっしゃるの? その言葉がズルい大人の建前だってこと、今から証明してみせるわ……」
 亜也香は、男根を遂に咥えると、激しく上下に顔を動かした。和雄は思わず声を漏らしてしまう。
「ああー」
 彼女は、一旦、口を離し、
「ほらあ! 奥さまがいて、娘もいる男が感じてる。それも、娘の同級生にフェラチオさせて……」
「いや。させてるッていうのは……」
 彼女は、強くペニスを握って上下に擦すりながら、
「言い訳? それとも、お説教?」
「ああー、そんなにされたら出てしまう」
「そうでしょう。感じてるのが、有村さんの本性でしょう?」
 亜也香が、再び股間に顔を埋めて口に啣んだ。ピチャピチャと音を立てながら、往復運動をする。ポニー・テール形にされた黒髪が揺れる。
 和雄に絶頂の予感がした。彼自身、腰を動かしたくなり、亜也香の頭に手を添えるようにした。
「で、出るよ」
 彼女は、動作をやめない。ペニスから口を離さない。
「本当に出るよ……、ああー!」
 和雄は精を放出した。娘の同級生だった亜也香の口内だという意識はどこかにはあるはずだが、快感に流されて、複雑な思いは背景へと退いてしまうのであった。
   *
「おッ、今月は『今、満たされる、若妻の淫らな慾望』か……」
 有村和雄は、書店で或る文藝誌を手に取った。数年前から愛読している雑誌、表紙のイラストは髪をポニー・テール形にした女性だ。
 それを見た彼の脳裡には、深川亜也香の容姿が浮かんでは消える。
 彼女の喫茶店に行った回数は、もう七回を数えていた。勿論、コーヒーや紅茶が飲みたいのではなく、彼女に会うのが目的だった。
 しかし、それなりに繁盛しているのか、必ず和雄以外にも客がいて、親密な会話など、彼女とできる日はなかった。フェラチオしてもらった日に客がいなかったのは、たまたまだったようだ。
 あの日、彼女は「相談」したいことがあると言っていたのであるが、その内容もよく分からないままである。単純に、たいしたことではなかったのかも知れない、とも和雄は思ってはいるのだが、もっと彼にとって気になることもあった。
 亜也香は、結婚しているというのだった。和雄は、それを、彼女とほかの客の会話から知った。
 彼女は、次のように言っていた。
「結婚当初、主人は二時間以上かけて通勤していたんですけど、しばらくして在宅勤務が可能になって、家にいることが多くなったんです。仕事しごとと言って、家にいないのがそれまでは私の不満だったのに、いざずっといられると、息の詰まる思いになってしまって……。それもあって、私は、この喫茶店を始めることにしたんです」
 始め、その話を耳にしたとき、和雄はとても驚いた。それは、彼女の方は独身なのだと思っていたからだし、この前の行為がW不倫ということになるとすると、より複雑な思いが増したからだ。
 和雄が思いを巡らしながら、文藝誌を購入して自宅に戻ると、娘の文美が来ていて、
「お父さん、おかえりなさい。どこに行ってたの?」
「ああ、ちょっと本屋さんにね」
「もしかして、また、いやらしい小説を買ってるんじゃないでしょうね」
 彼には書斎として使っている部屋があるから、こっそり読んでいたのであるが、本を借りようと書斎に入ったらしい文美が見つけてしまったという過去があった。
「ああ、うん……」
「まあ、いいわ。どこかに愛人がいるって話でもないんだし……」
 過去には「キモい、気持ち悪い。こんな変な本、家に入れないで」と、強く拒否反応を示した娘であったから、その穏やかな言葉は意外であった。
 勿論、文美は、父親に浮気経験があることなど知らないし、この間の深川亜也香とのことも知らないのだ。父親から見ても、性的なことには過敏であるのが娘の本当のところで、バレないように気をつけないと、と思いを新たにする彼である。
「……ところでさあ、ウォーキングは続けているの? お父さん」
「う、うん。暇を見つけては、歩いているよ」
「そう。よかったわ」
 和雄は、喫茶店に通っていることは口にしなかった。
 その夜、文美が出ていってから妻が囁いた。
「文美ちゃん、お付き合いしていた男の子とお別れしたみたいよ。浮気したらしいわ、その子。だから私、婚約する前に相手の本性が分かってよかったじゃないのッて言ったのよ……」
   *
 或る日、有村和雄が仕事から帰宅して風呂に入っていると、電話が鳴っているのが聞こえた。妻は同窓会に行っていて、彼以外は家にいないから、応答することができなかった。
 しばらくして風呂場から出、誰からだったのかと気にかけながら居間に入ると、電話が再び鳴った。
「有村でございます」
「……良かった、文美ちゃんのお父さんでしょうか」
 深川亜也香の声だった。
「そうですが、どうなさいました?」
「今から喫茶店にいらっしゃいませんか。私、今夜はここに泊まるんです」
「……と、泊まるッていうのは……」
「嫌ですか? ……待ってます」
 電話は切れた。
 和雄は、胸の高鳴りを押さえられない。急いで外出の用意をして、喫茶店へと向かった。
   *
 迎えた亜也香は、いつものようには黒髪を束ねてはおらず、それは肩から背中に広がっていた。
「嬉しいです。来てくれたんですね」
「どうなさったんですか……」
「二階に行きましょう」
 先を行く彼女に付いて、階段を上ぼると、和室だった。畳の色は既に青くはないが、清潔に保たれている印象である。
「上がってください。ここは、住居として使われていたこともあるらしいのですけど、今は私が仮眠室として利用しています。ほら……」
 亜也香は畳んであった敷物とタオルケットを広げて見せた。そして、
「私の夫なんですけど、浮気しているみたいなんです。それも、今までに何人も。前から一人は確実だと思っていて、有村さんに相談しようかとも思っていたんですけど。今日は怒って出てきちゃいました。私を妻としてちゃんと見ないばかりか、ほかの女に、それも何人もに手を出してきたなんて……」
 彼女は、そこで一旦黙ると、和雄を見詰め、そして彼の手を取った。
「有村さんは、私のこと、女として見てるんですよね」
 彼は、どう返答しようかと迷いながらも思いきって、
「は、はい……」
 既に股間が疼き始めているのだ。
「今日は、私に触わってくれますか」
 亜也香が和雄の手のひらを、Tシャツを着た胸に当てた。
 和雄の昂ぶりは、急上昇した。
「亜也香ちゃん!」
 抱きすくめると、キスをした。
 彼女の唇を強く吸うようにする。
「あー、亜也香ちゃん」
「むむむ、うふ」
 顔を左に右にと傾けながら、彼女の唇の感触を味わうと、続けて舌を進入させた。
 彼女も、それに応えてくれ、舌と舌が絡まる格好になった。
「あー、あー、亜也香」
「有村、さ、ん」
 長い間、そうしていたように思うが、やがて彼女が、彼の股間をジャージの布地越しに触わってきた。
「ああ、もう硬くなってきてる」
「うん。昂奮してるんだ。……裸になってもらえるのかい?」
「ええ……」
 彼女が、Tシャツを脱ぎ始める。和雄も急いで服を脱ぎ始めた。
 お互い薄着だったから、直ぐに裸になることができた。
 亜也香が敷物に腰を下ろしたので、和雄もそれに倣った。そして、彼女に再びキスをすると、そのオッパイに手を伸ばした。
「意外に大きいね。それにいい形だ」
「そうなんですか……」
 少し垂れたような感じが、とてもエロティックなオッパイである。褐色の乳首をいじると、たちまち硬さをもって、和雄の吸い付きたい慾望を煽る。チュッチュと吸い、舌も動かすと、
「ああ、感じます」
「そう? 俺も嬉しいよ」
 更に和雄は、彼女を押し倒すと、オッパイだけでなく、腕を上げさせ、腋にも舌を這わせた。汗の籠った匂いと味が、心地よい。
 彼は、彼女の皮膚全体を濡らすかのようにして、舐めていった。腹を舐め、腰を舐め、太ももを舐め、スネを舐め、足を舐めた。
「そんな所まで、ですか」
 足指を口に啣むと、亜也香は驚いている様子だった。
 指の間は、ほかの部位以上に舌を刺戟してくれた。彼は、指を一本いっぽんしゃぶり、その股々に残らず舌を入れた。
「こんな愛撫、初めてです」
「そうかい? 俺も、こんなに舐めたくなるのは初めてだよ。それじゃあ、いよいよ亜也香ちゃんのオマ●コを味わおうかなあ」
「えッ!? ……あーんッ」
 彼女が脚で股間を隠すようにしたので、和雄は力を入れて、両脚を広げさせたのだった。
「あん。恥ずかしい」
 彼が、彼女の股間に目を遣ると、なるほど、もう濡れて光っていた。恥毛が薄いから、余計に目立っている。彼女は、これを恥ずかしがっているのだ。彼は、その秘部を左右に広げながら、
「スゴい。もうビチャビチャじゃないか。亜也香ちゃん」
「いやん、言わないでくださいよお。有村さんのせいです」
 和雄は、彼女から分泌される淫液を啜った。勿論、秘部には隈なく舌を当てる。
 亜也香のクリトリスは大きめで、舐める度に、
「あ、あ、あん、感じるう」
 美人顔のツンとした鼻まで、ヒクヒクさせる。
 和雄は、ここで一度、彼女に絶頂を迎えてほしくなった。指を秘部に入れ、口ではクリトリスを刺戟した。すると果たして、
「あん、あ、あ、いくうー」
 彼女は、気を遣ったらしかった。
「はあーん」
「本当にイッたのかい?」
「うん。こんなの、久しぶり。早く入れてほしいよ」
 彼は、淫液の付いた指をしゃぶると、
「よし。入れよう」
   *
 亜也香に四つん這いの姿勢をとらせると、和雄は後ろに付いた。
 彼女のお臀は張りがあって、迫力すら感じさせる。彼は、その全体を撫で回して愉しんだ。滑る肌触り、コシを感じさせるような弾力、肌の白い色、どれも彼の好みに叶っていた。
「綺麗だ」
「はあー。もっと触わっても、いいんですよ」
 パンパンと軽く叩いてみたり、掴むようにしてみると、淡くピンク色に染まる部分があった。彼は、その色に突かれたからか、挿入したい気持ちが高まった。
「入れるよ」
「は、はいッ」
 和雄は、彼女のお臀にペニスを擦すり付けた。そして、みるみる内に硬くなったそれを、彼女の秘部へと挿入していった。
「入った……」
「はあ、はいッ」
 たいした抵抗もなく、亜也香と繋がることができた。
 腰をゆっくりと、前後に動かした。彼女の内部は熱く、しかも狭くなっている部分があるように感じられた。
「き、気持ちいいよ。亜也香ちゃん」
「あん、あん、あーん」
「直ぐ、イッちゃいそうだ」
「あん。いいですよ、出してッ」
 彼は、動作を激しくした。射精してしまったら、少し休んでまた愉しめばいい、今日は若い頃のように精力が漲っているのを感じるのだ。
 パンパンパンという音が部屋を満たす。
「はあ、はあ、はあ」
「イッちゃう。また、イッちゃうよお」
 亜也香の艶っぽい声に刺戟されたのか、和雄は急激に高まった。射精が近い。
「で、出るよ」
「あ、あん。い、いくう」
 彼の腰が、自動機械のように動く。制禦できない。
「あああー」
「いくううううう」
 亜也香が躯を強ばらすのと、彼が射精するのは、ほとんど同時であった。
   *
「はあ、はあ、はあ」
「気持ちいい」
「俺もだよ」
「でも……」
「でも?」
「一回じゃ足りないよお」
「俺もだ」
「朝まで一緒にいてくれますか」
「いいよ……」
 和雄は、自宅のテーブルに、仕事の急用が入ったという意味のメモを残してきていた。深夜に帰宅するだろう妻は、それを信じるであろうか? 朝帰りすればさすがに疑われるだろう、と思われる。亜也香の夫に知られた場合はどうなるだろうか? そんな心配もある。この先、どんな面倒なことになるか、分からない。
 それでも、亜也香の温もりを今は感じていたい、そう思う和雄であった。
   (「一服の背徳感」おわり)

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官能小説。アーカイブ(2018年7月執筆のものを修整)。

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