夢想狂

一面の白は

一面の黒と同等に

危うさが秘められていると

そう気付いたのは いつだったろう

そして 気付いた時には

その閉塞と不可逆の世界に

私は磔にされていたのだった

私を絶えず蝕んでいたのは

私以外の誰でもなかったのだ

盲目であることを有り難がれ

そんなことを説いたのは 誰だったろうか

言葉ありきの想像というものが

今では陳腐なものに思えてならない

今こうして書き連ねている陳腐な詩も

何かの残滓や 誰かの上澄みに過ぎないのだ

何故、言葉を与えないと嬰児は息絶えるのだろうか

言葉なくして 想像という営みがしてみたいものだった

非言語の世界に焦がれている

あるいは 誰もが詩人である世界に

あるいは 意味や価値から解放された境地に

皮肉にも 生来より言語を

終身的伴侶とさせられた身で

夢想狂

夢想狂

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-03

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