なんでもないこと
「この道をずうっと行くと、やがては楽園に繋がっているかもしれない」
行こう。行かないと。行きたい。行かないと。
歩き出した………………………
…よし着実に、楽園に近づいているかもしれない。うん。かもしれない、だけかもしれない。
空虚だ。空虚空虚。
ああ・・・
ぼんやりと遠くを眺める。
建物、の壁面や窓、など。
薄曇りの白い空、の向こうにぼんやりした太陽、など。
かすみがかった山、の、まだ雪が白くまばらに残る斜面、に立っている鉄塔、など。
雪どけ水がしたたる音、車が通る音。
・・・
あ
満ちている
いま
生きている
いま
・・・
ずうっと
そうしていた
もう空虚な歩みは止めて
「楽園は、ずうっと行ったところにあるのではないのかもしれない」
たとえば、ここ
そこ
なんでもないこと