なんでもないこと

「この道をずうっと行くと、やがては楽園に繋がっているかもしれない」

行こう。行かないと。行きたい。行かないと。
歩き出した………………………
…よし着実に、楽園に近づいているかもしれない。うん。かもしれない、だけかもしれない。
空虚だ。空虚空虚。
ああ・・・
ぼんやりと遠くを眺める。
建物、の壁面や窓、など。
薄曇りの白い空、の向こうにぼんやりした太陽、など。
かすみがかった山、の、まだ雪が白くまばらに残る斜面、に立っている鉄塔、など。
雪どけ水がしたたる音、車が通る音。
・・・


満ちている
いま
生きている
いま
・・・


ずうっと
そうしていた
もう空虚な歩みは止めて


「楽園は、ずうっと行ったところにあるのではないのかもしれない」

たとえば、ここ
そこ

なんでもないこと

なんでもないこと

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-02

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