生きた死人


街は 向かえば街でなくなる
本に手をのばせば 文字はぼんやりしている
考えようとすると 頭は涸れている
燃えだせば 消えている
人と…あ、もうひとりがいい
あれ、陽が
傾く…あ、夜も更けている

――彼は
  座りつくしている ずっと
  その姿は
  うっすら 透けているのだった

生きた死人

生きた死人

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-02

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