二月のシンパシー
せかいに、ふたつとない命を、どうか、たいせつにしてくださいと、祈るあなた。
宇宙幽霊、空中分列、恋愛勘定、まやかしと砂糖菓子、ひみつの花園に眠る少年と、博物館の棺を寝床にしている、きみ。なまえをわすれた。なんやったけなぁと、あたま、ゆらしてみる。制裁。街のはんぶんが、朽ちはじめている。なんとなく、憂鬱な夜にだけ聴く、歌がある。べつに、やさしいわけじゃないのだけれど、歌詞とか、曲調とか。どちらかといえば、さらに憂鬱にさせるような仄暗さが、あって、でも、その、浮上できないで、ずっと、感情がフラットなままでいられる感じが、よかった。インターネットってむなしいとき、ある。いつも、だれかとつながっているはずなのに、だれともつながっていない気がする日の、星のどこかが、ぱりぱりと割れる音。響くよ。
二月。だって。
デパートの、バレンタインコーナーで、しんけんにチョコレートを選ぶひとたちにまじって、なんとなく眺めている。ほしいのではなく、きぶんをあじわいたい、という理由で。イベントの。つまりは、たのしいことを共有したいという、さみしさを埋めるためだけの、行為。
二月のシンパシー