Looking forward woman & Looking back man
注意事項
①米印はト書きです。読まないでください。
②カッコ内は読んでください。
③この作品は男性2人、女性2人、男女どちらか1人の合計5人声劇です。
Looking forward woman & Looking back man
〔登場人物〕
・ユウカ/レイカ(♀)…二重人格。ユウカが表でレイカが裏。表向きはどこにでもいそうな女性だが、裏の顔ではかなりの残虐を働かせている。
・ヨシキ/アシキ(♂)…二重人格。ヨシキが表でかなりの真面目君。悪事には断固反対。アシキは裏の顔で、渾名(あだな)はアッシュ。短気で嫌な奴。
・マオ(♀)…街中を偶然にも歩いていた女性。精神科の先生。
・テルヤ(♂)…窃盗を犯した少年。ヨシキをアシキへと崩壊させた正体。
また、レイカをユウカとして救出させた恩人でもある。
・N(ナレーター)…♂♀どちらも可。言い換えも可。
レイカ:さぁ…♡私と一緒に踊って頂戴…?
私、レイカを楽しませなきゃ命は頂くわよ…?
アッハハハハッハハハハハ♡
(※かなり狂気凍〈じ〉みています)
ヨシキ:君達!そこで一体何をしている?!
許されると思うな!!例え未成年でも犯罪をしてしまえば罪人なのだぞ!
“身の程を知れ!”
N:これは、出逢ってはならなかった1組の男女の物語。恐怖と悲しみの物語。
“決して出逢ってはならなかった…。”
ヨシキ:…ったく、現代(いま)の未成年はどれだけ悪事を働かせたら気が済むんだ。
殺人、窃盗、詐欺、性的暴行。
暴力団の一味として裏工作している若者も少なくないって聞くし。
“誰がこんな世界を作っちまったのか…。”
はぁ~。(※溜息)
レイカ:ねぇねぇ、そこのお兄さん♡
私、今親から逃げて家出状態なの。お金も無いし泊る所もないの。
だから、お兄さんの家に泊めさせてくれる?
“お金を払ってくれたら、私を好きにしていいから。
あ~んなことやこ~んなことも、し・て・あ・げ・る♡”
N:道徳観が崩壊し、何もかもが崩れ去った現代。お金で何でも解決できる現代。
自分のためなら後先は考えず、目の前の欲望に駆られる現代人。
この世界を作り上げてしまった大人たちを恨む。憎む。
…だが、時代に関係なく存在する事も一定数は存在する。
“記憶喪失”も、その1つ。
ヨシキ:若者は好奇心の塊だから、って言えばそれでおしまい。親の力に頼るのが一番だけど、その親自身が崩壊しているのがほとんどだから何とも言えないんだよね。
公務員なんて、まさにソレ。児童相談所なんて頼るもんじゃないよ。警察官である私が言うことでもないけど。
「ヨシキは良い子だから、私たちが守ってあげるわ♡」なんて母上がおっしゃってたからまだ私は良かった方。
参ったなぁ~。
レイカ:ウフフ♡
今日も今日とてかなりの額を稼げたわ♡JKって、やっぱり最高の武器よね♪
3年間しかないから、クズ教師たちにバレないように楽しむスリル、快感よ♡
警察にばれて補導されたら、それこそ一発OUT。そこだけは注意。
N:この2つの相反(あいはん)する世界。現実的並行世界(リアル=パラレルワールド)。そう簡単にまとまるものではない。
レイカ:今夜もたんまりと頂くわ♡
誰をターゲットにしようかしら?
N:今宵も悪事を働かせようとするレイカ。
すると、後ろから何やら追いかけっこをしている2人の男の声が近づいてくる。
レイカ:ん?ナニかしら??
ヨシキ:そこのひったくりをしたキミ!!待つんだ!!
テルヤ:知らねぇよ!!
危機管理能力の無ぇ奴らが俺たちみたいな悪にやられちまうんだ!
“日頃の行いが悪いから罰を受けるっていうもんさ♪”
ヨシキ:彼女には何も罪がない!!
何故彼女を狙ったんだ!!
テルヤ:俺たちは、危機管理を実際に教えてあげてるんだよ!
受講料を頂戴しているだけさ♪
それの何が悪いというのだ!!
ヨシキ:そんな管理は、君達のような若い人が教えなくてもいいんだ!
我々が呼びかけをしているではないか!!
テルヤ:それの効果が無いからこんなことが起こるのさ!
“現実を見な!”
レイカ:あ!イイ物をもってそうなお兄さん発見♪
何か急いでいるみたいだけど、問題ないわよね。
“ねぇねぇ、お兄さん!”
ヨシキ:そこの女性の方!!
この若い男を止めてくれ!!
レイカ:“はーい!!”
お兄さ~ん♪ちょっとスト~ップ♪
テルヤ:(マズイ…。このままだとやられる。
…そうだ!少しからかってみよう。目の前に少しの隙間!)
サっちゃんよぉ~!
ヨシキ:待て!!
テルヤ:“ほいッ!!”
N:狭い狭い建物の隙間にクイックターンで避けるテルヤ。ヨシキにブレーキはかからない。
ヨシキ:(…あ、オワタ。)
テルヤ:(よっしゃ!もろたで工藤!!)
レイカ:…え?え??
ヨシキ:“止まらねェ~~!!!”
(※ワンピースのとあるキャラクターのように)
レイカ:キャ~~~~!!!
(※絶叫)
N:ヨシキとレイカ、勢いよく衝突。かなりのハードヒットのようで、衝撃音が街中に響き渡る。
幸い、命に別条はなく軽傷で済んだようだ。
アシキ:痛ェ~。
“俺、何でこんなところにいるんだ?それに軽く痛みも感じる。”
ユウカ:痛かったぁ~。
“私、一体何をしていたの?”
ポケットポケット…。
“えぇ?!私の財布の中に20万円?!”
怖い怖い…。
N:この瞬間、“2人は入れ替わってしまった。”
…いや、“本当の顔が明るみとなったのだ。”
この瞬間、全てが崩壊をした。あらゆる意味で。
ユウカ:キャーーーーーー!!!
“この変態警察!!!”
アシキ:(貴様に言われたくはないわな!)
“私は、一応警察だ。署までご同行を願う。”
ユウカ:嫌です!
貴方の方からぶつかってきたじゃないですか!!
私、明日も学校なので帰らせていただきます!考査期間中なのです!!
アシキ:そうはいかない。
何故この状況になったのか教えてもらおうか。
マオ:(間違いなく、警察官の逆ギレなんだけどさ。)
ユウカ:貴方の名前を教えてよ?
アシキ:俺の名は“アシキ”。警察に刃向かったり抵抗したら、業務妨害で罪が加算されちまうぜ。
ユウカ:私はユウカ。高校2年生。早く離して!!
アシキ:ダマレ!!この小娘!!
N:マオがさらに増援を要請したことで一旦終結。
周りからの映像協力もあり、結果としては喧嘩両成敗で“共にお咎(とが)めなし。御相子様(おあいこさま)”となった。
だが、問題はそれだけではない。
“なぜ2人の性格が逆転してしまったのか?”
マオ:これは“記憶喪失”ですね。ぶつかった衝撃でスイッチが入ってしまったみたいです。すぐに治るようなことは無いと思われます。
“最悪の場合、この状態で残りの人生を歩むこととなります。”
N:ユウカには何も問題はなかった。
どころか、逆に“優等生”としての道を歩み始めたのだ。
ユウカ:なるほど。ここの文型は過去分詞になるから、選択肢からそれに当てはまるのはaの“has”ってわけね。主語がSheだからそうならなきゃね。
よし!ミスはさっきの問題だけ。このままいけば、統一試験は勿論、憧れの国公立大学に!!
“頑張らなくちゃ!!”
N:ユウカ、覚醒。
見事、念願の第一志望に合格。
“一筋の光が差し、新たな扉が開いた。”
アシキ:何で俺が罷免されなきゃならねぇんだよ?!悪いのは俺じゃない!!
マオ:アッシュ、聞いて?これは仕方のないことなの。
たまたま打ち所が悪かっただけ。誰もあなたが悪いとは言ってないわ。
アシキ:“タマタマ”だぁ?!ざけんじゃねェ!!
こちとら犯人を捕まえ損ねて大惨事だったんだぞ。
俺は悪くはねぇからな!!
マオ:だ・か・ら!!(怒)
“アッシュも女子高校生も悪くない”って繰り返し言ってるじゃない!!(怒)
アシキ:“俺じゃねェからな!!
絶対にあの小娘には謝罪してもらうからな!!!”
マオ:なら、勝手にそうすれば?
職権乱用でさらに酷い目に合っても私は知らないわ。
アシキ:“許さん…、許さん…。”
N:その後、スリ犯のテルヤは逮捕。
ユウカとアシキの治療代と賠償金、鞄の持ち主への賠償とかなりの金額を支払う羽目となった。当然ながら、彼自身は学校を退学。家族は火の車。一家総出の出稼ぎである。引っ越しをして毎日働いて、仕事も掛け持ちは当たり前。借金返済はかなり先になりそうだ。
テルヤ:…。
N:それから少し経ち、テルヤは自殺。刑務所の中で壮絶な最期を遂げたそうだ。
ある囚人曰く、毎日のように性的暴行を加えさせられており、生前は、通常の男性とは思え難い、醜い(みにくい)姿をしていたそうだ。
“因果応報”であろう。
アシキ:こんな人生生きるくらいなら、あの世に逝っちまえ!!
“グォエ…”(※口から血を吐くような感じ。)
N:アシキもまた、人生に終止符を打った。
彼女に否は無かったのだ。それを覆すことができず、嫌になっての自殺。
“世の中、そう甘くはないのだ。
何が起きてもおかしくない。それが人生である。”
Looking forward woman & Looking back man
訂正情報
・2月1日(月) 本文の一部を修正。