祝福
人でも、ものでも、何でもいい。最終的には、愛するものはひとつでいい。それゆえに、私は、いま、さまざまなものを、愛しにかかっているのだろう。ああ、でも、その最後のひとつが、自分であったなら、どんなにいいだろう。どんなに、幸せだろう。私は、言葉の不完全性を愛している。常に欠けているという点で、言葉と人間は、似たものどうしだ。欠落を、渇きを、流動性を、いじらしさを愛している。愛する、ということは、およそ、信じる、ということだろう。愛に、いかなる形容詞も必要ない。私は、いつか、私であることを、誇りに思いたい。私は、じぶんの持ち得る、愛する能力と共に死にたい。私は、この愛する能力まで、必然的に愛することになる。私は、透明な愛の中で、死にたい。絶対的な温度の中に、溶けていきたい。透明な花になりたい。誰にも見られずに咲き、誰にも見られずに枯れ果てたい。私は、透明な孤独の中で、死にたい。
祝福