いつかのための習作③
ガタガタとうるさく鳴く窓に、早朝のウォーキングのやる気を削がれた小説家は、朝食を採ってからシャワーを浴びた。頭痛が小説家を襲ったのはその後である。活字を読もうにも全く集中できず、昨日丸1日寝入ってしまったせいかと疑いを持ちながらも、若干の眠気を催したこともあり、フローリングの床に身体を横たえた。
小1時間して目が覚めたがやはり頭痛は治まっていない。寝過ぎが原因かもしれないのに寝て治るものかと呆れるしかなかった。
行きつけのスーパーマーケットは開店している時間になっていたが、相変わらずの強風の中に突っ込む気にもなれず、また活字を読み始めた。その重い腰が上がったのは、活字を読み始めて2時間程経った頃だった。音楽配信アプリが停止し、再起動してもなかなか立ち上がってこないことが機だと思った小説家は、煙草を1本吸ってから自宅を出た。
小説家は貧しかった。今日はあと600円しか使えない。納豆、徳用チョコレート、麦茶、スポーツドリンク。
スーパーマーケットから自宅へ帰る途中で空腹感に教われた。昼は寿司でも食おうか。瓶ビール1本と。自宅の冷凍庫には米が冷凍保存してある。卵かけご飯に納豆を入れると絶品だ。葛藤と頭痛による苛々を、すれ違う誰彼に見せつけてやりたくなる。
いつかのための習作③