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雨が降りしきっている
昨日までの出来事を一緒くたにして
私は蛻の殻になる
無機質なものに優しさを見いだして
一人で勝手に救われていた
驕ることもいつしか
くだらないと思うようになって
わからないものばかりが増えて
本気で何かを嫌うことも 億劫になって
濁った目で 濁った宙をみつめる
同じ場所に留まりつづけることは
もう この先ないだろうな
そんな憐憫も 白々しくて気持ち悪いんだ
あらゆる記憶は 人間みたいに自分勝手で
傷が疼くたび これは記憶を冒涜した私への
正当な罰なんだと 自分に言い聞かせていた
言い聞かせることは 諦めることと同じだった
思いだしたくないことまで 思いだしてしまう
足りないものばかり 失ったものばかり
別離を告げた日々ばかり 数えちゃいられない
ねえ、私、進んでるよ。進んでるの、少しずつだけど。
吐く息の白さを憶えている 聞こえる
どこかから
雨を縫うようにして届く オルゴールの音が
いまの私を これからの私を
少しずつ浄化していく
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