情報が見える話

湖楠*

彼女は他人には見えない物が見えた。
それは妖怪や幽霊などではない。
彼女が見ていたのは、「情報」である。
彼女にはこの世のあらゆる物の情報が、空気中にあるように見えていた。

この世界は、人々はアナログで情報を手に入れ、それを売り買いしていた。彼女もまたその社会の一員であった。
他人と比べ情報が「見える」彼女は、とても商売上手であり、彼女はその能力を誇らしく思っていた。

やがて、ネットワークが誕生した。情報は高速でやり取りされるようになり、人々は「見えない」世界で商売を始めた。

彼女の見る世界は途端に変わっていった。目の前にある情報は高速で書き換えられ、人では処理できないほどの速さとなっていく。

それでも彼女はその速さに追いつくため、酷使し、やがてショートした。

けれど、世界は進化する。その果てに彼女のように空気中で情報を操る時代がやってくる。彼女の存在など、とうに忘れて。

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  • 小説
  • 掌編
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