あおい はる
かなしい、あなたはだれ、はてな、という問い。わたしは、わたしです、とはっきりと言い切れるほど、わたし、ではないような気がしていた。夜。おふろのなかで、ぷかぷかと、かんがえていた。わたし、は、わたし、で、わたし、ではない、わたし、が、そんざいするとして、それは、わたし、があたまのなかで生み出した、空想の、わたし、であるのかもしれない。
こわい。
なにがこわいって、とにかく、こわい、と思っていた。
日曜日と、月曜日、いま、この瞬間までの、わたし、というものを、わたし、は、いともかんたんに、消してしまった。わたし、ではないような気がして。
でも、日曜日のわたしも、月曜日のわたしも、まぎれもなく、わたし、であって、けれども、わたしにとっては、ゆるされないわたし、だった。
かなしいから、ゆず茶にしょうがをいれて飲んでる。からだがあたたまると、しぜんと、こころはほどけてゆくもので、土曜日も、日曜日も、月曜日も、わたしは、わたしだったよ、と、どんなわたしでも、いいんだよと、じぶんに言い聞かせている。
好きだから、ことばをつないでいる。しらないだれかのことを、どこかの世界の断片を、愛おしんでいる。不安と、息苦しさと、きもちわるさにまざる、すこしのやさしさ。
ずっと、わたしは、わたしでいたいから、ここにいる。
あおい はる