水曜日郵便局

健やかに暮らしていますか
どうかご自愛ください
少しずつ日は長くなって
眠りから覚める季節のようです

宛名のない手紙は水曜日へとつながった
あなたはどんな姿をしているの

雨に打たれ 風に吹かれ
嵐の中をただ渡っていく
知らない人の群れの中で
知らないあなたにただ渡しに行く

つたない文字だけが知っているの

つつがなくお過ごしでしょうか
風邪などひかれてはいませんか
朝晩も徐々に冷え込んで
街路の銀杏も黄に染まって
布団から出るのもつらくなりました

そんな些細な記憶が水曜日へとつながった
あなたはどんな景色を見ているの

海の向こうへ 遥か彼方へ
エピソードだけが広がっていく
知らない人の思い出の中へ
知らないあなたのその中へ

つたない文字だけが知っているの
言葉の先にぬくもりがあるのを
たった一度だけつなぎとめるの
この手紙を読み終えるまでは

水曜日郵便局

水曜日郵便局

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-25

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