クワイエット

眠りの隙間に落ちる名無し星
傘もささずにそれに打たれる夜
七竃が風に揺れていた
あなたはまだ何も、何も。

針で刺した小指の先
でたらめな誓い

夜を駆けるあの汽車に乗って
僕らはまた夢際で逢うだろう
灰を落とした 煙とまざって
この痛みは僕が生きる証になる

夜を撫でるあなたの柔く白い手が
濡れそぼった袖の間から
美しさにとらわれ呼吸さえ忘れた
静寂をまとう女よ

顔を隠した夜の帳
かすかな溜め息

細い首を少し伸ばして
彼方の朝を待ち焦がれているのか
外套に手を埋め ぼんやりと
あなたはまだ何も、何も。

夜を駆けるあの汽車に乗って
僕らはまた夢際で逢うだろう
灰を落とした 煙とまざって
この痛みは僕ら、生きた証になる

クワイエット

クワイエット

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-25

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