nine

やさしい言葉はいらない
理不尽な世界にうまれて
この世の地獄をみてきた
わたしにとっての地獄を

わたしが轍を生むから
だからあなたは未来を看取って
我々は変われるだろうか
悲しみを癒せるのだろうか

いま 両手を上にあげて
銃口をのぞきこんだら
きこえる
讃美歌に合わせて
息をととのえた

ハッピーバースデイ
こんな世界にようこそおいでくださいました

レストインピースまで悩みは尽きない
幼き哲学者よ

小さな右手で指を摑んだ
あなたは最初の奇跡を起こした
医者も科学者も驚嘆している
浮かべた笑みはこの世を何ひとつ
しらない

白面のままではいられない
胡乱な世界に呑まれて
あなたに教えられるほど
わたしはわたしを知らない

ご覧 街が燃え落ちるのを
ドミノがたおれゆくのを
積むのも崩すのも人なんだよ
かわいいものだろう?

ハッピーバースデイ
こんな世界にようこそおいでくださいました

レストインピースまで悩みは尽きない
幼き哲学者よ

やさしい言葉でおなかはふくれない
無力な楽天家よ
でも祈っている
来たる日々が幸多からんことを

ハッピーバースデイから
レストインピースまで
流星のように
浮雲のように
狂炎のように
晴嵐のように
動物のように生きよう

まだ悩みは尽きない
悩みは尽きない
悩みは尽きないけれど

ハッピーバースデイから
レストインピースまで
悩め 哲学者よ

しわがれた手でも指を摑んだ
あなたは最後の奇跡を起こした
医者も科学者も驚嘆している
浮かべた笑みはこの世の何かを

nine

nine

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-25

Copyrighted
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