You

さっきまで笑っていたのに
もう何もかも手離したみたいに
冷めている自分にも気が付いているんだ
後ろ上から見下ろされて
熱を奪われた

傍観者のように世界を眺めてみても
譲れないもの ひとつはあるだろう
血潮は巡り続ける 心臓は脈打つ
諦めたとしても

残酷にも命は続くよ
それに縋るよ 何度でも

本当は分かっていたのに
まだ孤独さを免罪符みたいに抱えている
優しい人に愛を注がれるように仕向けていた
狡猾な自分自身にも気が付いていた

特別なものが何ひとつ残っていなくても
理由がなくても明日も生きるだろう
あなたがわたしのためにつけた名前を
首からぶらさげて

I meant you.
幸不幸も嗜癖も関係なく堆積する時間
自尊心の泥濘に首まで浸かって
良不良も好き嫌いも安息を搦めとるだけ
自傷も嘲笑もくだらない
「くだらない」ということさえ憚られるのに

あなたの今日にひかりが差していなくても
小さな燈火を分けたい人がいる
どんなハンデも背負っていても心臓は脈打つ
忘れたっていいよ
きっと火をつけるから

特別なものが何ひとつ残っていなくても
理由がなくても明日も生きるだろう
あなたがわたしのためにつけた名前をぶらさげて

分からなくても愛をうたうよ
愚かだとしても何度でも

You

You

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-25

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