菫空
菫色の空が
やぶれて
私はその向こう側に
いつかの面影をみる
この満ち欠けは
吹き抜ける風は 去来する漣は
私のことを いつも苛んだ
私のことを いつも誑かした
私のことを いつも惑わせて
私のことを いつも嘲笑った
変わることも
変わらないことも
私には 残酷なことのように思えた
「ねえ、私、知ってたんだよ。
最初から、気づいてたんだ。
私は
他の誰でもない
私自身から 救って欲しかったんだって」
"ごめんなさい"
私はつぶやく 声に出さずに
あなたは微笑んでいる 何も言わずに
何も言わずに 私のもとから去っていく
その優しさが切なくて 苦しくて仕方なかった
菫空