いちばん好きな食べ物って意外と思い浮かばない

あおい はる

 おわらない、ゆめのなかに、いた。もう、ずっと、夜でもいいのにと思ったことはないけれど、おわらないゆめは、ときに心地よく、ときに退屈だ。某ドーナッツやさんの、なんだかすごいひととつくったという、ドーナッツを買うために並ぶ、という行為を、わたしがするのはひどくめずらしい。食にこだわりなどないし、そのすごいひとのこともよく知らない。けれど、チョコレートは好きだし、ドーナッツも好きなので、並ぶ理由としては、それだけでいいのではと思う。わたしの前に並んでいたひとは、そのドーナッツをたくさん買っていて、こんなにいっぺんに食べきれるのかと気になったけれど、もちろん、ひとりぶんではなく、たのまれた人数分を買っているのだった。(おしぼりの数でわかった)でも、ひとりで全種類をひとつずつ食べるというのも、なかなかだなぁという感じ。甘いものが大好きなひとならば、ぺろりと、たやすいものなのかも。こんな、都会ではない、どちらかといえば田舎のドーナッツやさんでも、その、コラボレーションをしたひとがすごいひとがすごいひとと知っていて、みんな並んででも買うのだろうと想うと、ただ純粋に、感心してしまう。とりあえず、食べてまずくなければよし、とまではいかなくても、美味しいから、人気があるから、新発売だから、といって外食をしたり、それらのために何時間も並ぶ、などということ、わたしは、そこまで熱心には、できないだろう。食べることは、生きるうえでたいせつなこと。でも、食べることよりも、時間やお金を費やしたいことが、わたしにはあるのだから、それでいいだろう、という心持ち。ドーナッツはふつうにおいしかった。

いちばん好きな食べ物って意外と思い浮かばない

いちばん好きな食べ物って意外と思い浮かばない

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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