形成構築パターン世界基準

 うまれるまえまで、もどりたい。
 夜。海は泣いているのに、くじらは静かに歌い、朝をまっている。尊い暁。肺がつめたくなる頃の、きみの瞳のなかで構築される、架空都市。アンドロイドに埋めこまれた、アンドロメダにちいさな祈りを。崇拝と、信仰みたいな恋愛をしていた、あのときのことは、七年前、切り刻んで、燃やしたよ。森はえいえんに、ひみつだけを守ってくれるから。好き。
 ドラッグストアで安売りしていた、バター風味のクッキーを、なんだかもう、これでもかというくらい食べたい日には、スマートフォンが死んでゆけばいいと思う。あしたがくるのに、りゆうはなくて、きのうがおわることに、いみはない。きのうは、しぜんとおわるし、あしたは、かってにやってくる。そういうものだと、世界はおしつけてきた。にんげん、とは、かよわき生きものだ。くるしいときに、真夜中のバケモノは、こわいくらいにやさしいのだ。冬は寒いし、夏は暑いのだ。そういうものなのだと思いながら、二十四時につくるインスタントラーメンは、ばかみたいにおいしいのだ。
 テレビのなかで踊ってる、おんなのこたち。みんな、げんき。

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形成構築パターン世界基準

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-21

CC BY-NC-ND
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