海底遺跡

海底遺跡

ゴボ、ゴボゴボ。
もがこうと振り回した腕が重かった。

遥か真上、見上げた先には真っ白い大きなクジラが、「この世界は自由で水も空気も澄んでいるし、街に住む人たちは優しくて、なんと美しい世界でしょうか。」
讃えるようにフオーンと遠く声を張り上げた。
真っ白いシャツに黄色のネクタイを締めたペリカンは涼しい顔して水中浮遊を楽しんでいた。「私たちですか。えぇ、エリートもエリート、だって羽と嘴がこんなにも大きいのですから」
剣を掲げるように嘴を天に向けて、大きく翼を広げて、ガココ、ガココと喉を鳴らした。

この世界は広く綺麗にいつまでも青が広がっていつまでも自由なように見えたがその実、調和を強いられただけの広い空間でしかなかった。
わたしは言いたいことがたくさんあったし、咬みつきたい奴がいっぱいあった。

ゴボ、ゴボボ。
もがこうと振り回した腕が重かった。

海底遺跡

海底遺跡

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-17

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