物語
かなしいことを忘れるのはやめよう
心に鍵をかけるのは無駄だった
おれは俺でしかないから苦しかったけど
どうしても捨てられなかったんだ
ずっと友達でいてくれた幼なじみも
愛してくれた両親も
綺麗な海しかない故郷も
いじめられたことも
いじめたことも
誰かと殴り合ってばかりだったことも
真面目に生きようとしたことも
いちばん好きだったひとが自殺したことも
なにもかもを憎んだことも
詩を書くために生きようとしたことも
ぜんぶおれなんだ
これがおれの物語なんだ
おれはいま生きているんだ
それ以上にリアルなことなんてない
ただそれだけでうれしくて、たのしくて
いまこの詩を書いているんだぜ
かっこわるくたって生きていけばいい
なんとかなるし、どうでもいいだろ?
物語