物語

桐原 水刃

かなしいことを忘れるのはやめよう
心に鍵をかけるのは無駄だった
おれは俺でしかないから苦しかったけど
どうしても捨てられなかったんだ

ずっと友達でいてくれた幼なじみも
愛してくれた両親も
綺麗な海しかない故郷も
いじめられたことも
いじめたことも
誰かと殴り合ってばかりだったことも
真面目に生きようとしたことも
いちばん好きだったひとが自殺したことも
なにもかもを憎んだことも
詩を書くために生きようとしたことも
ぜんぶおれなんだ
これがおれの物語なんだ

おれはいま生きているんだ
それ以上にリアルなことなんてない
ただそれだけでうれしくて、たのしくて
いまこの詩を書いているんだぜ

かっこわるくたって生きていけばいい
なんとかなるし、どうでもいいだろ?

物語

物語

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-01-15

Copyrighted
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