重い本
桐原 水刃
その物語に始点はなく、いつまでも停滞している。すべては滅びつつあり、また再構築されつつもある。幻想も、絶望も、永遠に続くのだろう。まるで神様になった気分だ。わたしだけが生き残った世界で、これからもずっと佇んでいるのだろう。もしそんなものがあるとしたら、世界が終わるその日まで。
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この本に出会ったのは、まだ何も知らない頃だった。それまでの人生とはなにか違うひかりを与えられたような気がして、どうしてもあの光景を忘れられない。わたしにとってこの本は、現実よりも重く感じられるのだ。
重い本