寒茜
いつからか 好きだった曲が嫌いになったのに
今日も冬の空を見ている 吐息の先を見ている
そうだろう 足元を見ないけれど
落とした言葉には気付いていた
花はもう枯れていた
描きたい衝動も のこしたい消息も
あと何年 あと何日
紙に並べば同じような歌だった
もうずっと、全部紙屑だと思った
君が僕を描く日まで
何時も過去形な記憶を見て言う
「私も何時か、過去になるのに」
また同じ言葉 また同じ夢で描くのは
さよならまでの秒読み段階
君の季節がまた遠のいた
街の狭い空
ふわり舞った雪が溶けるのを
寒茜