雷と魔術師協会の秘密~五十年後の手紙~(BL含む)

久方ゆずる

 モア様から俺の呪いについて聞いた後、俺とリムは宿の同じ部屋に泊まった……。

「良かったのか、本当に?」
「どうして?」

 ベッドの上で髪を直しているリムに恐る恐る聞いた。
 リムはこちらを向かずに、寝間着の前を合わせた。それから、こちらを向いて、俺の顔を見た。

「ねぇ、あなた、あの協会長の事、どう思う?」
「え? ただのキノコだろ」
「ぷっ、それはそうね。でも」
「でも、何?」

 リムはまたむこうを向いて、自分の両膝に視線を落とした。

「なぁ。リム、結婚しないか」
「え、本当!」

 俺は後ろ頭をかいて、言い訳をする。

「まだ、魔術師にもなれてないけれど……」
「そんな事いいのよ。また頑張ればいいの!」

 そう言って、リムは満面の笑みを俺に向けた。
 それから、目をそらして、小さく呟いた。

「良かった……」
「何?」
「ううん、何でもない!」

 本当はその時、聞こえていたのだけれど……。


~五十年後~

『協会長へ

  お元気ですか?
  今、寝起きに、ベッドの上でこの手紙を書いています。
  俺は生まれた家で、ダンケと一緒に暮らしています。嫁とキッティンが隣の嫁の実家に住んでいます。

  ダンケは時々、テレパでルンドゥと話しているみたいだ。何を話しているのかは知りませんが、二人のやり取りを聞いていると、あなたと俺の事を思い出しますね……。

  そう言えば、二人も協会長と面接官でしたね。

  あの頃の事を思い出すと、本当に顔から火が出る思いです。
  未熟とは、ああいう状態を言うのかな、と思うくらいです。

  協会長、今は俺も『旧』協会長ですね、と初めてお会いした時、あなたはまだ九歳で協会長になられたばかりでしたね。
  親父の横に立っている小さなあなたを見て、正直、「こんなガキがまとめられんのかよ」と心中で毒づきました。

  でも、はじめてのテストで落とされた時、いや、その事はやめておきましょう、とにかく、ダンケにも悪い事をしたと猛省しています。
  今は、話し合って、仲直り?しましたが、結構怒っていたみたいです。

  あの時……あなたの誘いを断った事、後悔していません。
  俺ももういい歳ですが、あなたも十分、お爺さんなんですから、くれぐれも身体に気を付けてくださいね!

  それでは、いつかまた、お会いすることを願いつつ。
  って、本当は、二度と会いたくねーよ! なぁんてね(笑)

  じゃあね。

 ツヴァイ=ダッチェより
 親愛なる「協会長」様へ』


『ツヴァイ様

  お手紙ありがとうございます。

  面白いお手紙に、思わず吹き出してしまいました!!
  貴方の憎たらしいお顔が目に浮かびます。

  奥様と仲良くされているようで、安心致しました。
  僕もあれから、変わりました。

  父を見送りました……。
  いつかは可愛いお嫁さんをもらうつもりです。

  ……な~んてね!

  貴方のお手紙を読んで、随分と元気になりました。
  二度と送ってくださらなくて結構です。

  貴方の事を一生、好きでしょう。
  でも、大丈夫です!

  僕の事は、お気になさらず、一生を全うなさってください。


   愛を込めて
   冗談を言える様になった
   レーイ=ミッチェル。 』


雷と魔術師協会の秘密~五十年後の手紙~(BL含む)

雷と魔術師協会の秘密~五十年後の手紙~(BL含む)

以前と昨年、投稿させて頂きました『雷と魔術師協会の秘密』の最新作です! 覚えてくださっている方がいらっしゃると良いのですが……。 全編をご存じでないと何が何やらな内容ですが、楽しんで頂けると嬉しく思います。 よろしくお願い致します!!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-01-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted