決闘
華麗なる男、僕
非日常の主人公俺とは別人
法治国家日本において決闘をしてはいけない。決闘罪という罪で罰せられる。
しかし、うちの大学には学生自治というのがあって日本の法律と多少異なっている。
学内では独自の法律が適用され、学生ならびに教授、従業員はその法律のもとで学校生活を送っている。
殺人、強盗、窃盗、暴行、詐欺・・・etc パッと考えられる主な犯罪は日本の法律以上に強く罰せられる。
が!
決闘に関しては認められている。
決闘罪では、挑戦状を送りつけた者、決闘の場を用意したもの、立会人などの決闘に関する人間が罰せられる。
しかし、僕の大学においては合法であり。これが許されている。
さらに、決闘によって相手を殺害してしまった場合でも罪には問われない。もちろん、怪我をさせたとしても傷害罪には問われない。
前ふりが長くなった、本題を話そう
今日、在学5年目にして初めて決闘を申し込まれた。もちろん学内でだ。
相手は新入生。身長は170、体重は60くらい 中肉中背だ。
僕は、学生支援課の許可を得たのか聞いた。
言い忘れたが、学生支援課の許可を得ないと決闘はできない。
新入生は、この事実を知らないことが多いので、僕はそれを指摘することで戦いを回避できると思ったのだ。
強いものほど戦いを避ける。by小学校の担任
残念なことに、相手が持っていた挑戦状には学校のシンボルが入った印が押されていた。
僕たちは、学内の決闘場に場所を移した。
ドッグファイト。戦闘機による空中戦。
学校の敷地内に飛行場があるのだが、そこには学生や学校関係者が通勤で使う複葉機が止まっている。
僕たちは、決闘状に向っていた。しかし、飛行場の前で僕は足をとめた。
「ねぇ、ドッグファイトにしない?」
休日なので誰も飛んでいない。ドッグファイトにはうってつけだ。
空は僕の蒼いキャンパスだ。キャンパスには蒼以外、無駄な色はない。
白い線でどんな絵を描いてやろうか。
僕は、決闘状への道すがら飛行場の複葉機を目にして、ドッグファイトを思いついたのだ。
「いいですよ先輩」
相手も、キャンパスに自分の絵の構図を思い描いていた。
今日の空は皆を芸術家にさせる。そんな気にさせる。
空中
それは海だった。
僕は溺れていた。
相手の機関銃の狙いは正確で、僕の複葉機の羽が少し削られた。
「なるほど、道理で空が青いわけだ。華を咲かせるか・・・」
僕は観念した。死を。
キャンパスに華を咲かせるだろう。
僕の愛機ライトニングJは、これまでに数百もの華を咲かせてきた。
しかし、相手の機銃によってライトニングJが描く線が弱弱しくなってきた。
稲妻は、静電気のように弱々しく、いや・・・・僕は稲妻・・・僕の愛妻。ライトニングJ
Jはジョージ・フォアマンからきている。
僕は、螺旋を描きながら落下していった。
「ふっ・・せめて愛する女性(ひと)にさよならを・・・」
ライトニングJが描く螺旋は、さながら僕の過去の軌跡、僕の学校生活の走馬灯。
僕は落ちながら、今までの人生を振り返った。
僕の追憶が、現在の僕に追いついた時、地面が近づいていた。
「来世でまた会おうぜ・・・ライトニングJ」
知らない天井だ。あえて引用する。
僕は決闘に負け、大けがを負った。
幸い命に別状はなかったが、プライドと右足を失った。
僕は休学を余儀なくされた。
次は負けない・・・
決闘
つづく