ハンバーグ台本 (1:1)
女:夕飯なにがいい?
男:ハンバーグ
女:…はぁ
男:どした?
女:なんにしようかな
男:なにを?
女:夕飯
男:だからハンバーグ
女:何にしよ
男:だからハンバーグ
女:献立考えるのってほんと面倒くさい
男:なんでだよ、決まっただろ
女:誰か考えてくれないかな
男:あ、わかったお前、ハンバーグ作るの面倒くさいんだな?
まあ、わかる。ハンバーグこねると手がベタベタになるし、焼き加減とか難しいしな。
だが、安心しろ、俺はレトルトでも大丈夫なタイプだ。
女:クックパッドでも見るか…
男:しょーがないな、わかった!食べに行こう! ちょうど駅前に洋食の店ができてだな…
女:もういい
男:もういいのか
女:うん、もういい、どんだけ無視してもハンバーグ推してくるのはわかった。
男:じゃ、夕食は?
女:最近、魚食べてなかったから、なにかの塩焼きにする。
男:ハンバーグの塩焼きはどう? あっさりしてて、イケるとおもうんだが。
女:ハンバーグから離れてくれる?
男:は、お前何言ってんだ?
女:あ…
男:お前は一体何年俺の彼女やってんだ?
女:えっと…
男:今言ったこともう一回言ってみろ?
女:ごめんなさい。
男:俺がハンバーグから離れられないことは、付き合う前に了承したよな?
俺、浮気と違法行為以外はなんでも許すけど、それだけ譲れないっていったよね?
女:…はいはい、そうでした。私が悪かったです。
男:分かればよろしい。
女:でもさ、お願いだから夕飯にハンバーグはやめよう? 昨日もハンバーグ、一昨日は、煮込みハンバーグ、その前はチーズインハンバーグ、さらにその前は、和風おろしハンバーグ。流石にその…
男:全部うまかったよな……。でも、わかった! そうだよな、いくら俺がハンバーグがないと生きていけないからって、毎日付き合わせるわけに行かないもんな。
女:あ、うん、わかってくれればいいの。
男:じゃ今日は、ハンバーガーにしよう。
女:…なんて?
男:だから、ハンバーガー
女:どこが変わったの?
男:はあ?
何言ってんだ! 全然違うだろうが!
パンに挟まって、レタスとかピクルスとか加わってんだぞ!
いっしょだってのは、ハンバーガー考えた人に失礼だろ!
女:…うーん、ごめんなさい? なのかな?
男:しかし、ハンバーガーって偉いよな。ちゃんとハンバーグに敬意を払ってるもんな。
メンチカツなんて、ほぼハンバーグに衣つけて揚げただけなのに、ハンバーグになんの断りもない。
許しがたいよな。
女:はぁ、じゃハンバーグカレーは?
男:許す。
女:ロールキャベツは?
男:中身、ハンバーグじゃん、許せん。
女:肉まんは?
男:許せん。
女:餃子は?
男:全然許せん。
女:ロコモコは?
男:あれはなー微妙だよな……なんの話だっけ?
女:だから夕飯のメニュー
男:買ってこようか、魚?
女:……ミンチ買ってきて合い挽き
男:いいのか?
女:さすがにここまでハンバーグの話されたら、食べたくなる。
男:…作戦成功
女:なんか言った?
男:いや、俺が作るよ。
女:…ありがと。
男:好きだろ?
女:うん。
【完】
ハンバーグ台本 (1:1)