恋した瞬間、世界が終わる -第27話「人を遠ざける色-わたしは、私を監視している-」-

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恋した瞬間、世界が終わる -第27話「人を遠ざける色-わたしは、私を監視している-」-

-第4部 早川真知子編「第27話 人を遠ざける色-わたしは、私を監視している-」

 大好きな、ばあば
「新型マナヴォリックウィルス」で
 殺された


ばあばは、癌で入院しました
すでにステージ4の状態
緩和ケアの病棟で残された日々を過ごしていた矢先
入院先で例のウィルスに罹患
死が早まったのか、痛みの引き摺りから解放されたのか
宣告された余命よりも早く、亡くなりました

「おまえがまだ、ちっちゃな赤んぼのころ
 覚えてないだろが、
 おまえの母親があたしに言ったんだよ 
  
 “真知子が将来大人になったとき、
 どうか自分を諦めずに
 命を全うした人生を送ってくれたなら
 私は、それで自分の生が叶うと思うの”

 おまえの母さんは、
 命を懸けて、おまえの存在を肯定したかった
 まあ、それはほとんどの親が想うこと何だろうねえ」



GIに頼まれたのは
「カルト作品を作ること」だった

20年ーー
それほどに前から、次々と実験の為の作品を吐き捨てつつ
計画は進んでいた
マイナーな拠点での【ある】脚本作り
パソコンゲームのシナリオ制作
TVゲームのシナリオ制作
地上波に流れないTVドラマのシナリオ制作
ローカルな「メディア」を通して
それらを通じて、
人間の脳内から生み出される思考過程と思考結果
分岐による結末
とてもじゃないが、売れる要素のない作品
ただ、
「過程」と「結末」を探るための実験


“ある”遍在性と、【ある】偏在性


極端な傾倒が社会化してゆくこと


魅了してゆく様



ほとんどが不完全なシナリオで、埋もれて
でも系譜として、継続して紡がれていった



★与えられたキーワードは
・ビッグデータの運営による過程と結末
・一つの思考(ハブ)から広がる中での、中心の有用性と有効性
・?→オタク化→?→社会通念化
・ビッグデータ以外の手段による過程と結末
・その再生手段について
・新しきもの



留まる者、拡張する者

置き換わる者

組み替える者

別なものになること


 

「新型マナヴォリックウィルス」の世界的な感染流行がありました
それは、世界の誰か「一握りの人」を探し当てるための作業
そして、環境に適応できない人を淘汰していく自然の業だったと
「GI」は話していました


後遺症や再発などもあり、適応できない人々が自ずと「死を選ぶ権利」に流れるように仕向けられていたのでしょうか?

感染者は、適応のために
「カロドポタリクル」のジェネリック医薬品を手に取り
ネット上の動画配信サービスの広告で宣伝された売り文句が
不毛な環境適応を見越した人生への飽き
全ての土地を痩せ細られ、見放された土地にする

「ロイドポタールNは、人間不信の解決策。」
「ロイドポタールBは、人間関係の不毛なやり取りに疲れたあなたに。」
「ロイドポタールZは、あなた自身で人生の最期を決める一つの方法です。」


お金儲けに飽きない連中は、そこから新たなサービス
「SNSで、あなたの最期を誰かに届けるサービス」
「あなたの記録をネットに遺す“ラストノート”」
「誰かがあなたの生きた足跡を辿る、後世にあなたを」
「あなたの顔がアバターとして蘇り、未来の恋人へ届けます」

ばあばの“人生の形”も、誰かに必要なことだった?
後世に遺すべきメッセージがあった?

ばあばは、
誰かの雛形(模型)ではない!



感染者は、世界人口のもうすぐ3割程に達し
死者は、その内のもうすぐ3割に届く


同人誌の即売会は、感染症の所為で延期に
世界がわたしたちを殺してゆくの?

そんな中で、
祖母を失ったわたしをココが引き受けてくれました
ココとの同棲生活が励みになりました

同棲生活の中でネット通販の同人誌を手伝い
この時期のわたしたちはパートーナーとして
お互いを尊重していました

ココは、わたしに本を声を出して読むように話しました
せんぱいのように

「アリュール、あなたの声って
 とっても心地よい響きをしているのよ
 生活の中の電気音とか、電波だとか
 そういったものを中和してくれる
 たぶん、私の“黒”も薄くなって
 きっとアメリカンコーヒーのように
 風のような軽やかさを身につけてゆくかもね」

ココは、
わたしの声の音を生活に必要なものとして
受け容れてくれました

しかし、わたしは
ココに対して、
いえ、ココの中の何かを呑み込んでいってしまう
そんな感覚があったのです

わたしは、ココの同人誌を手伝いながら
背景の仕事や、
スクリーントーン貼りなどを任されるうちに
独自なやり方を発見しました
わたしは、それを試してみたい欲求に
負けていったのです
こっそりと、わたしの色使いへと侵して
ココは思惑に気づいていたのか分かりません
「あら、その使い方は素敵ね」と



夜な夜な更けてゆく
わたしの筆が下細い線を引き
引き合わせた先に、せんぱいの姿を浮かべた


せんぱいは、生きているの?


政府の「マニュアル」は、わたしの人生の光を射し示す事になる
その時、ココは決して「安楽死」を求めていなかった



※恋した瞬間、世界が終わる -第4部 早川真知子編-完-
 次回、第5部は2月中に公開予定です。

恋した瞬間、世界が終わる -第27話「人を遠ざける色-わたしは、私を監視している-」-

これまでの「各章(部)」ごとに、まとめて掲載したものも「星空文庫」にアップロードしています。
良かったら見に来てください。

恋した瞬間、世界が終わる -第27話「人を遠ざける色-わたしは、私を監視している-」-

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  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2021-01-09

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