罪状

独善的になりきれないのか、僕は
人間なんてさらさら 当てにしていないのに
絶えず燻っている何かが 絶えず何かに追い縋ろうとしている
僕はそいつを妨害することに必死で
疎ましいそいつを殺害することに必死で
とにかく必死だったんだ、一瞬でも和解したくなくて
何も理解したくなくて 何も弁解させたくなかった
微温湯に浸かりながら僕は 虚栄心ばかりを膨らませていた
それが破裂する頃にはもう 僕は僕でなくなっていた
水で薄めるように、僕は僕という色彩を暈していた
現実にとどまるための輪郭を捨て去り
真実に泥を塗るものの尊厳を奪い取り
そうして理性を 正義を 正気を保ってきたはずだった
凪に傷つけられることもあるという 残酷な事実を知るまでは
今や僕は ただの茫漠とした染みになった
意思をもたない 茫漠とした染みになった
「人間が人間を裁くな」「不誠実でいることを許してくれ」
そう口を滑らすたびに僕は 罪人であることを誇らしく感じる
誰かの悪であることを快く感じる
抑えきれない矛盾に引き裂かれるこの痛みを どうしようもなく愛おしく感じる

罪状

罪状

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-03

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