告別
僕はね
心待ちにしているんだ
すべてを失う日が来るのを
あらゆる希望が潰える瞬間を
何が良くなろうと悪くなろうと
もうどうでもいいんだ
恐怖とか、猜疑とか、期待とか
憎悪とか、後悔とか、執着とか
そのすべてから解放されて、僕は
愉快そうに闊歩するんだ、
すべてが白んでいく景色の中を
もう見下すものなんて何もなくて
真偽や善悪なんかもどうでもよくなって
はじめて絶望が愛おしくなる
夢と現実を一緒くたにして
僕は自分の存在が透けていくのを感じる
微睡みの中で僕は
どんな過ちにだって手を染めることができる
告別