告別

僕はね

心待ちにしているんだ

すべてを失う日が来るのを

あらゆる希望が潰える瞬間を

何が良くなろうと悪くなろうと

もうどうでもいいんだ

恐怖とか、猜疑とか、期待とか

憎悪とか、後悔とか、執着とか

そのすべてから解放されて、僕は

愉快そうに闊歩するんだ、

すべてが白んでいく景色の中を

もう見下すものなんて何もなくて

真偽や善悪なんかもどうでもよくなって

はじめて絶望が愛おしくなる

夢と現実を一緒くたにして

僕は自分の存在が透けていくのを感じる

微睡みの中で僕は

どんな過ちにだって手を染めることができる

告別

告別

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-30

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