聖者の行進(8)

八 最後の審判

 行進中の霊同士が話している。
「おいらたち、天国やあの世、浄土に行ったらどうなるの」
「死んじゃったことにはならないね」
「そりゃあ、よかった」
「天国では生き返ると言うこと?」
「死だって、死を生きているよ」
「そうなんだ。生を謳歌するように、死も謳歌できるんだ」
「やった!」
「天国でも、行進できるの?」
「そりゃあ、もちろんだよ。生きている時も行進していたんだよ。もちろん、みんな、思い思いの人生を送るために、列を離れたり、くっついたりしていたけれど」
「ああ、そうか。そうだったんだ。ようやく戻って来たんだ」
「おかえりなさい」
 遥か彼方の行進の先頭は、今まさに、門に入ろうとしていた。

聖者の行進(8)

聖者の行進(8)

死んだ者たちがかつて生きていた街を行進し、どこかへ向かう物語。八 最後の審判

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-20

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