聖者の行進(8)
八 最後の審判
行進中の霊同士が話している。
「おいらたち、天国やあの世、浄土に行ったらどうなるの」
「死んじゃったことにはならないね」
「そりゃあ、よかった」
「天国では生き返ると言うこと?」
「死だって、死を生きているよ」
「そうなんだ。生を謳歌するように、死も謳歌できるんだ」
「やった!」
「天国でも、行進できるの?」
「そりゃあ、もちろんだよ。生きている時も行進していたんだよ。もちろん、みんな、思い思いの人生を送るために、列を離れたり、くっついたりしていたけれど」
「ああ、そうか。そうだったんだ。ようやく戻って来たんだ」
「おかえりなさい」
遥か彼方の行進の先頭は、今まさに、門に入ろうとしていた。
聖者の行進(8)