ハヤブサについて

ハヤブサについて

怠慢じゃなくて、むしろ静電気みたいにぴりぴりしているってわけだ。前髪を切断していく鋏。いつもここが最前線だった。爪を噛むことすら許さないから。計算されつくされた本能って言うんですよ。おかしいでしょう? しょうもない激情を戦争に例えれば、びっくりするほどみじめになるよ。
「私たちきっと夜空に流星になって天上で死ぬのよ」「それって、髪の毛一本すら残さず消滅することなのかな」「そうじゃないわよ、馬鹿ね。いい、まず大前提として神様は」「……いや、ぼくは馬鹿だから何を言われてもわからない。馬鹿だからきみの話も聞くことができない」「最初の間は何だったのかしら」「さあね。馬鹿に聞くだけ無駄さ」「……!」「?」淘汰されるぼくの精子。幻滅されてしまう肺胞。控え目に言って、わっ はぷん? 痛い痛いだけの最前線をコンセントにさしてショートさせろ。火花を散らせ。ギターを鈍器に変えて、ミュージシャンを怒らせろ。淘汰される。ぼくの精子が夜空に唸る。見るに堪えない新世界の末路を、しっかりその双眸で見届けやがれ。

ハヤブサについて

ハヤブサについて

淘汰される。ぼくの精子が夜空に唸る。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-20

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